僕(君)だけを見て

海星

第1話 目に入れても痛くない

―――――――――自営のお店のご飯会。


「おつかれ」

「おつかれさま。」


すっと自然に隣に座る子が一人。


社員、パート含め5人の小さな店。


年に2~3回こうやって慰労会をする。


今隣に座ってるのはうちの女子大生。

高校一年生の頃からうちにいる子。

…目に入れても痛くない子。


りょうちゃん、あれとって。」

「あ、うん。」


「どうぞ。先選んでください。」

目の前に座るパートのお姉さん達にタブレットを渡している。


一通りお姉さん達が選ぶと彼女が僕にタブレットを見せて、


「飲み物、緑茶?烏龍茶?」と聞く。

「うーん…緑茶。」

「そうだね。じゃあ、あたし烏龍茶にするかな。」


と言った直後、僕に耳打ちをして、


「でもさ、稜太飲まないとみんな飲めなくない?」と言うので、

「ビール飲むかな。森宮さんも飲む?」

「頂こうかな?」


僕がニヤけてると、隣の彼女に腰をつつかれた。


ヤキモチ焼きなのは2人とも同じ。だからわかる。でもそれもまた可愛い。



――――――何杯か飲んで、席も入れ替えを始めた。でも僕はずっとテーブルの下で結月彼女の手を握ってた。


「稜ちゃんも行ってきたら?」

「トイレなら行く。」

「ったく…酔うとこれなんだから。」


足元がおぼつかないので、気にかけて結月も着いてきてくれた。



僕はそんな結月を影で抱きしめた…。


「……」

「わかったよ。帰ったら相手してあげるから。」

「ほんと?」

「本当。」


僕は酔いもあって結月しか見えなくて、

誰に見られるとかも考えられなくてその場で結月にキスした。


「…稜太、大好きだよ。…帰ったらいっぱいしていいから。だから今は戻ろ?」

「わかった。」


結月の言うことならすんなり聞ける。

いつのまにかそうなっていた。



――――――――――――お開き後。


「店長大丈夫?」

「本当、飲みすぎるとこうだから。…歩ける?」

「…大丈夫。結月、やるぞ。」

「わかったから、帰ったら一回水飲んで。飲みすぎ。」



そのまま駐車場まで歩いて結月の運転で帰宅した。



―――――――――マンションのエレベーター。


「……」

「……」


結月にキスした。


「…そんなに欲しい?」

結月が妖艶に見える…。


「今すぐ脱がせたい。」

「そういうとこ好き。」


――――――――――――――――――。

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