第37話
心不乱に掘り進め、いったいどれだけの時間がたったのだろう?
いつも俺のツルハシさんの掘削力は抜群だった。
体力強化の意味も込めて、パワードスーツに頼るようなことはしていない訳だが、正直そこは素直にスーツの力を借りるべきだったかもしれない。
しかしつらい戦いだった。
具体的に言うと、土も岩もとても重い。
わかっていても果てしなく重い。
しかし基礎体力など筋肉を使わなければ養われはしないのだ。
そして苦労のかいあって、俺はたどり着いた。
地面を掘り進んだ先に空間を発見。
そこにはよくわからない機械群に、光り輝く台座が見える。
あまりにも想像通りの転移ポータルに、俺は背中に鳥肌が立つほど興奮を覚えた。
「オ…オオオ……こ、これが?」
『ポータルの起動を確認しました』
テラさんがチェックを終えた瞬間、俺は拳を振り上げて喜びに打ち震えた。
「マジで!? おおお、たぎってきた、たぎってきた!」
「おめでとうございます」
体は寝不足で重たいけれど、心は熱く燃え上がる。
こんなものがまだ眠っているとは、やはりここは宝の山だった。
「これは本格的に発掘の必要が出て来たなぁ。テラさんも協力してくれよ」
「もちろんです。動作確認しましたが、やはり問題ないようです」
「うっひょー!」
反則技かもしれないが問題が解決するのなら憂いはもはやない。
新しい展開に二の足を踏む必要は、これっぽっちもなくなったと言っていいだろう。
「よし……これはいくしかないな。懐かしの王都へ」
『マスターは王都という場所に行ったことがあるのですか?』
俺はテラさんの質問に頷く。
俺はかつて王都を拠点に活動していた。それは紛れもない事実だった。
「ああ。あるよ。あそこはね……俺を召喚した場所なんだ」
忘れるわけがない。懐かしの王都を俺はよく知っている。
様々な思い出があるにはあるが、もはやそれはすべて過去のことだと割り切ったはずだ。
だが避ける理由はなかった。
俺は王都に足を踏み入れるだろう。だが今は―――。
「…………すまん、限界だテラさん…………zzzzz」
『その寝息はもはや古風なのでは?」
気合を入れようとした俺は、耐久力が限界を迎えた。
とにかくその日は泥のように睡眠確定である。
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