ライナス vs アレン③



アレンは剣を下ろす代わりに、ライナスの言葉に耳を傾けた。しかし、その心の奥深くには消えない怒りが渦巻いていた。ライナスが彼を処刑したあの日のことを、彼は決して忘れることができなかった。たとえかつての仲間であっても、彼にとってその事実は消えない傷となっていた。


「俺はお前を許せない…」アレンの声は低く、冷たく響いた。ライナスの表情が一瞬硬直する。「お前が俺を裏切り、命を奪った。それがすべてだ。俺は復讐を果たさなければならない」


「アレン、待て!お前は本当に復讐だけが全てだと思っているのか?」ライナスは必死に叫び、アレンの気持ちを引き戻そうとした。しかし、アレンの心は固まっていた。彼の目の前には、かつての仲間ではなく、かつて自分を殺した敵が立っているのだ。


「お前は王国に忠誠を誓った。俺を殺すことでお前はその忠誠を果たしたつもりなのか?」アレンはライナスに詰め寄り、鋭い眼差しを向けた。「俺は魔族として、復讐を遂げる。この手で、必ずお前を…!」


アレンの言葉に、ライナスは言葉を失った。アレンの心が復讐に染まっていくのを感じながら、彼はかつての友情が無に帰すことを恐れた。しかし、アレンにとって、その道はもはや引き返せないものになっていた。


「それが本当にお前の望みなのか、アレン?復讐が全てを解決すると思っているのか?」ライナスの問いかけに、アレンは背を向けた。もはや何も語るつもりはなかった。彼の心は復讐へと突き進むことを決意していた。


その時、アレンの目に新たな魔族の影が映り込んだ。彼らは彼に従い、彼を支えてくれる存在だった。しかし、彼らの心の底にあるのは、ただ彼の復讐心を利用しようとする欲望だった。アレンはそのことを理解していたが、復讐の炎は彼の心を焦がし、彼を突き動かしていた。


「さあ、行こう」アレンは仲間の魔族たちに向かって叫んだ。「俺たちの敵、王国に復讐を果たすために、まずはこの村を襲撃する。ライナスはここに留まれ、俺たちの邪魔をするな!」



ライナスは動揺し、アレンの言葉に耳を傾けた。「アレン、そういうことをするな!それでは、お前は何も変わらない!」しかし、アレンは振り向かず、彼の決意を示した。


魔族たちがアレンの指示に従い、村へと向かう。アレンは心の中で、復讐の目的を一層強く抱きしめた。彼の目に映るのは、かつての仲間を裏切った者たちへの怒りと憎しみ。それが彼を魔族へと導き、彼の運命を決定づけるのだ。



アレンはその先に待つ運命を恐れることはなかった。彼は復讐のために魔族となり、かつての仲間を討つための力を手に入れた。その思いは彼の中で炎のように燃え盛り、彼の道を照らしていた。


「必ず、俺はお前を倒す」アレンは心の中でライナスに誓った。復讐の道は始まったばかりだ。どんな障害があろうとも、彼はその道を突き進む決意を固めた。

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