王国の弱体化



アレンは魔族の力を手に入れたことで、かつては手の届かなかった魔界の魔力にアクセスできるようになっていた。その力を用いて、彼は王国に潜むダンジョンへと足を運ぶことを決意した。ダンジョンは王国の冒険者たちが日々鍛錬と名声を得る場であり、王国の防衛力を支えるために欠かせない存在でもあった。


「まずは、王国の力を削ぐことだ…」


アレンは冷静に分析し、ダンジョンの難易度を上げることで、王国の冒険者たちに苦難を与えることを決めた。ダンジョンの深部に存在する魔石に触れ、その魔力を操作することで、モンスターをさらに強力にし、迷宮の構造をより複雑に変化させていく。魔族としての新たな能力で、アレンは自らの意思でダンジョンを操り、かつての仲間や王国の冒険者が立ち入ることを恐れる場に変貌させた。


アレンはダンジョンの中心で不敵な笑みを浮かべた。


「こうすれば、王国の戦力も自然と削がれるだろう。奴らがどれだけ無様にもがき苦しむか…見物だな」


早速、ダンジョンの噂は冒険者たちの間で広まり始めた。以前は攻略が容易だったダンジョンが、突如として高難易度に変わり、冒険者たちが次々と命を落とす事態に。アレンはその光景を遠くから冷静に見つめ、復讐の第一歩が着実に進んでいることを感じていた。


王国は冒険者の損失に危機感を募らせ、次第に王の耳にもこの異常事態の報告が届くようになる。ライナスもまた、この噂を聞き、かつてアレンと共に戦った仲間の何人かが命を落としたことを知る。そして、彼の胸にはどこか不安と罪悪感が広がっていった。


「まさか…」


ライナスはふと、処刑台でのアレンの顔を思い出す。彼が何かを伝えようとしていたその瞬間を、振り払うことができなかった。

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