第23話 思いの行方
──菊池 冬美──
私が今日登校すると、靴箱の中に4つ折りの紙が入っていた。
今どき手紙で告白をする人いたんだ。
私は入学してから何度も告白をされているのでこの時はこの紙がラブレターだと思っていた。
私は玄関でそれを見るのは少し恥ずかしいと思い、さっさと教室に入り近くに誰もいないことを確認してから紙を少しづつ広げた。
………!?完全に広げると、そこには黒くて太い字で、『青柳はお前のことを貶めようとしている。だから関わるな』と書かれていた。
私が青柳くんと付き合ってるのを知ってる人って今の所私と青柳くんだけのはずなのに……。
昨日青柳くんは付き合ったときに「出来れば誰にもバレたくない」と言っていた。
だから青柳くんが広めるわけが無い。
となると……、ストーカー!?
ないない。この紙が入ってたのは靴箱の中よ?
「怖っ……!」
私は凄く怖くなってきて紙をぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
しょうがないよ。名前も書かないであんなこと書かれるとさすがに怖いから。
「ふゆみんおっはよ〜っ!」
教室に明るい声が響く。
智美だ!
「ともみんおはよ」
「むむむ。ふゆみん元気ない?保健室行く?」
相変わらず智美は
私は智美の隠れた才能がおかしく思い、つい笑をこぼした。
「お!笑ったねぇ〜!元気で良かった!」
「うん。ありがとね!」
冬美はこの時にはもう、先程の紙のことなど忘れてしまっていた。
※
冬美はあの
青柳くんと別れたら1番ありがたいのだが……。
スルーされていたらどうしようか。そうなると僕達で助けられるかわからないぞ?
本当に頼むぞ?
──今井 創一──
僕は今、ある人に電話をかけていた。
ガチャ…!
「もしもし」
コール音が消えるのと同時に、今までに何度も聞いてきた声が聞こえてきた。
僕は、今までに使っていたスマホを解約し、違うスマホ会社で新しいスマホを契約したので、相手は電話相手が僕だということに気づいていないだろう。
「もしもし。隆くん、僕だよ。創一だよ」
「え?創一くんか!?いつもと違う番号からかかってきたから誰かわからなかったぞ?」
「すまないね。僕は色々あって前のスマホを使えなくなってしまったんだよ」
「それは、どうしてか聞いていいかな?」
「いいとも。────」
それから僕は、旧友である『杉谷 隆』にここ最近に起きた出来事を全て話した。響くんには悪いけれど、名前は出さずに響くんのことも話させてもらった。
僕が話終えた時の隆くんの沈黙具合はなかなか面白かった。
隆くんは少し考えてから言った。
「これはマスコミに流したら一発で日向 遥高は政治家としてなにもできなくなるだろう。けれど、公開寸前でばれてしまうと、あの人の性格上確実に金や権力を使って揉み消すだろう。創一くんはなにかいい策があるかい?」
「日向 遥高からのメッセージ。あれは全てデータとしてまだ残っているよ。これって刑事事件として、警察に見せたら脅迫罪とかで捜査してもらえないかな?」
「昔法律について勉強してたことがあるんだけど、それは強要罪になるかもしれないね」
強要罪……。脅迫罪よりも強要罪の方が罪が重くなると聞いたことがある。
こちらの体制は整ってきたぞ……。
響くん。後少しで君の敵はいなくなるよ。
日向家。待っていろよ。
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