第2話 身から出たバリ

・・・ば、ばか?な、なんだ、何が起こった?!俺は何をもらったんだ?!もしかして?

いやそんなことないだろう、俺は領主の子だろ?領主の子がバカなわけが・・・

でもそれ以外は何も浮かばない・・・・まさか本当に俺は、ばか、なのか・・

だがどうしよう、戦士とかならまだしもこれを皆に伝えるわけには。


「パテル様!女神さまから何を授かったのでしょう!次期領主として民の皆様にもお教えください!」


ど、どうしようどうしよう!


「さぁ!」


「ば」


「ば?」

「ばー」


「ばー?」

「ばーbalrian」


「バーバリアン?」


「そう!ば、バーバリアンである!!!」



な、、なんだ?まずったか?な、何とか言ってくれ!なんでみんな黙ってる?!だから嫌いなんだ人前に立つのは!


歓声が沸く


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「うおおおおおおおおおおおおおおおお」


「すばらしいい!なんと!戦士ではなくバーバリアンですと?!なんと素晴らしいことだ!」


お?す、すごいのか?!なんだよくわからんがうまくいきそうだ!


「そうだ!バーバリアンと浮かんだのだ!」


「さすがでございます!さすがアレクシア様のご子息!このアレクシア=グリデンタール様の血を引くお方!下級の戦士からではなくいきなり上級のバーバリアンを授かるとは!なんと素晴らしき事。これは国王様にもお伝えせねばなりませんな!」


なんかまずいことになってないか?上級職?!なんですかそれは?バカなんですか?いやバカなんですけど、、、て、ちがーーうこのままじゃ自由な暮らしが!!


天啓の儀が終わり民のものにもてはやされ、この先のことなど想像もつかないまま時間がたち気づけば馬車の中である。


「よくやった」


ふと顔を上げるとお父様にこういわれた

「よくやった、だがここからが大事である。バーバリアンという大きな役割を得たのだから。グリデンタールの民のためにも、己のためにも精進しなければならない。女神ユーピテルの名に恥じぬように天啓を全うしなさい。」


「は、はい!」


「だが、、まあ、よかったな。良い天啓を得れて」


「ありがとうがざいます!女神ユーピテルの、グリデンタールのためにも頑張りたいと思います!」

いーーやどうしよう、めちゃくちゃ期待してないか?言えないよ、、実はバカなんですって言えない絶対言えない!

齢10歳にして墓まで持っていく秘め事ができたのであった。





「ところで、天啓も無事得たことだし、明日からの稽古はもっと本格的にやっていくぞ?」


「はい、、、」




ボーン!!


突然何かが爆発した音が聞こえ馬車が大きく揺れる、お父様g亜とっさに自分をかばってくれるのと同時に


「うわあああああ!」


な、何があった?爆発したと思ったら叫び声が!


「お父様!」


「馬車にいなさい、顔をださず伏せておきなさい」


「領主様!盗賊です!隣の村を襲っていたやつらです!」


「そうか、全員この車両を起点に戦え、無傷な馬を持ってこい!」


「お父様大丈夫でしょうか!」


「心配するな、私がいる。」


大きな手が僕の頭をなで、安堵した。

それとともに盗賊の笛の合図が聞こえた



どれくらい時間がたったであろう、いいつけどうり顔を伏せていた自分は何もわからない。だが剣がたたきつけあう音・傷ついた者の悲鳴。盗賊の雄たけび。父の号令でバフがかかり勇気が湧く兵士の声。


だがそれもじきに聞こえなくなり。



ドン!


馬車に何かがぶつかる音がする、それとともに窓に血が飛び散るのも見えた。

考えたくもない最悪の結末、それが脳裏をよぎる誰も戻ってこないのでは?

不安が募り一人馬車の中、さみしさに耐えきれず窓の外をそっと覗くと

一人の戦士が戦っているのが見えた。

それがいつも見ていた背中であり、その人の手の温かみを感じていたいとこれほどまでに思ったことはない。


だがその戦士が片膝をつく、今にも地面に伏せてしまいそうな勢いで。

剣を地面に差し何とかすがっているのが限界だ。


嫌だ、嫌だ嫌だ、そんな、信じたくない!負けないんだ

お父様は最強の戦士だから!明日も稽古つけてもらうはずなんだ!



ふと、馬車のほうを見る父上と目が合う、少し笑い、前を向き、全力で最後の力を振り絞る。


お父様は死なない、、最強の戦士だからである。

僕が最も尊敬した最強の戦士だから誰にも負けないのである。

剣の音が聞こえ手に力が入る

だからここから復活してすべての盗賊を倒すのである。

お父様は家族みんなで幸せな最期を送らないといけないんだ。

こんなところで死んでいいわけないんだ!


お父様の最後の号令が聞こえ、自分の目の前が真っ白になるくらい光が放たれた。




ふと目が覚めた、そこはいつも見ていた景色、朝に見た天井だ。窓からは雲一つない青空が広がっている。


「パテル?!」

「パテル!!!!」




そう聞こえた後いつか感じたぬくもりを得た。






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