最終戦の前死合
静樹はゆったりと歩きながら接近を開始した。
静樹は香澄に近づきながらレーザーを発射させ始めた。
香澄は見切りではなく演舞で回避をしている。
静樹は急に背中のブーストを発動して香澄に斬りかかった。
香澄は立体的視認で事前に軌道を把握していたため演舞で回避している。
静樹は当たらないと判断したため流体からの無焦点で刀を振るって見よう見まねの空破斬を放った。
香澄は少し意外な技がきたがこれは受け流しを使って舞いを続けている。
静樹は観察眼を発動して技の概要把握をしてからすぐに連撃を開始した。
香澄は連撃がくると知っていたためそれのパターン化を済ませたら一気に斬ることを選択した。
静樹は観察眼で見ながらも自身にシールドを張って神速剣に備えた。
香澄は準備が終わったため一番隙が大きいところに最速剣を放った。
「演舞:新月斬」
静樹は予想通り初動は観れなかったがシールドで大部分を軽減したため観れるようになり受け流しをした。
香澄は受け流しをされながらも次の行動、技、組み合えわせを考えている。
静樹は流し切った瞬間に攻撃後の隙を突くカウンターを選択した。
香澄はカウンターが来るので立体的視認からの見切りで体術回避をして流体無焦点の蹴りを選択した。
静樹は技の解析をしているがまだ時間が足りないため流体無焦点の蹴りをシールドで相殺しながらレーザーを香澄と回避されるであろう方向に撃った。
香澄は間に合わないと判断したためやむ終えずに意識を沈めたと脳に錯覚させて操作は自身で行うという無意識よりも上の何かを発動した。
香澄は蹴りをシールドに相殺された直後に防撃を使って最初のレーザーを回避、そしてもう一つの方は空破斬で切り裂いた。
静樹はその瞬間を待っていた。
空破斬は自分で使ってはじめてわかったがかなり集中力がいる技で周囲の警戒が少しおろそかになるということを。
なのでその隙に最速の技を使うことにした。
背中のブーストを最大出力で使いながらも自身の居合いを使って少し光がはしった。
香澄は反射的に少し足を動かしたが間に合わなかった。
スパン
「ぐっやるじゃない」
やばいということは顔出さずとも香澄は劣勢を感じた。
足にかなり深く傷を入れられたが一応まだやれるようだ。
「すごいものを見せてくれたじゃない。お返しに前世界の最強の防御を見せてあげるわ」
そういうと香澄は身体を脱力して目を瞑り剣先を地面に向けてどこか神々しく立った。
「眩しいわねー。守護の大天使みたいだよ」
静樹はなかなか面白いことを言いながらもレーザーを1発香澄に撃った。
シュン
「本当にすごいわね…」
どこか呆れながらも静樹は言った。
香澄は飛んできたレーザーを刀で軽い一振りで斬った。
静樹は観察眼を使ったのだが観えなかった。
いやこの表現はいささか正確ではない。
正しくは何かに防壁に阻まれて観ることができなかったとなるのかな。
ちなみに雪梛も観たが同様のものが観えていたようだ。
静樹は小細工や物量などは効かないと判断したため真っ向勝負とした。
「香澄。この最速剣を受けてみなさい」
「静樹。残念だけど貴方は最速剣に届かないわ。後一歩ってところね。私の最高の相棒に届くには」
香澄は未だ動かず同じ体勢のままだ。
静樹はゆったりと香澄に近づいていきもはや刀身だけで届く距離となった。
静樹は柄を握って構える。
対して香澄は剣先を地面に向けて立っている。
音信号が発生していないかのような無のフィールドで二人の少女が相対している。
静樹は今までの経験を思い出しながらいかにダメージを入れられるかを思考している。
香澄は時を待っている。
来るべき時を。
静樹の最終行動がはじまった。
静樹は今までの技を組み合わせて流体無焦点で初動を開始し、空破斬による威力増強、更には先程の香澄が使っていた防撃から速撃を発動させて自身の持てる最高の剣を香澄の振った。
香澄は静樹が動きだす一瞬前に動きだし刀を到達予想地点へと持っていき刃が触れるのを待った。
パチ
両者の刀の刃が触れた。
刃が触れた瞬間に香澄は受け流しと防撃を発動して更にそれでも流しきれなかったため刀が折れないと信じながら衝撃吸収を発動して流しきる時を待った。
ピキ ピキ
少しずつヒビが入るながらも香澄は流し続けた。
シュン
流しきった。
静樹はキツそうにしながらもなんとかシールドを張れたようだ。
香澄は吸収しきった衝撃を移行せずに新月斬で斬ることにした。
ブン バキッ
予想通りに香澄の刀が折れてしまった。
しかしシールドも破壊したため香澄は吸収していた衝撃を全開放してフルブレイクを選択した。
ボーーン
静樹は笑いながら吹っ飛んでいった。
香澄は折れた刀を見て一粒だけこぼしてから
「修復をお願いしてもいいかしら?」
「もちろんだよ。
雪梛からの言葉を聞くと香澄は吹っ飛んでいった静樹を探しに走ろうとしてぶっ倒れた。
「まったく、アホだね香澄は」
香澄は起きると自宅前で雪梛に治療されていた。
「流石の私たちともいえどあの傷じゃ動けないでしょ?静樹は運んでおいたから安心して」
すると静樹がひょこっと入り口に出てきた。
「あ、起きたのかしら?いい死合だったよ香澄。それはそうと最初の私に闇魔法を使わせようとしていたのはいいのかしら?」
静樹の質問には香澄ではなく雪梛が答えた。
「使わせようとしていた意味までは観れなかったんだね。単純に静樹を強くしようとしていただけだよ。それにあの本気の場面で使わなかったってことは不完全なんでしょ」
「全くどこまで知っているんだかね。そうよ。実用性がないから使わないってだけよ。そういえば最終決戦は香澄と雪梛でしょ?その後の世界生成に私も参加させてもらってもいいかしら?」
雪梛は問題なしと即座に頷いた。
「もちろんいいよ。もとよりそのつもりだったからそっちから提案してもらえるとは助かるね」
「そろそろいいかしら?明後日に雪梛と私の決戦よ。その予定でいてちょうだいね」
「わかったよ。じゃあ私はこの後やることがあるからゆっくり休んでいてね」
雪梛はそういうと家の中に入っていった。
「静樹、もし暇なら話でもしないかしら。暇なのよね私」
「もちろんいいわよ。私は話をするのも聞くのも好きだからね」
そう言って二人は適当に喋っていた。
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