本気と本気の死合
少しの情報は読み取れたのでそれで十分であった。
光奈は左手で雷と熱球体に指示を出しながら右手でパワーを溜めている。
吹雪は流体無焦点で後ろに下がり先日の熱無のようなことをしてくると予想したため警戒を強めた。
光奈は吹雪に攻撃しながら走り出して攻撃方法の切り替えの指示を雷と熱球体に出してから左手の人差し指から吹雪に向けて光線銃を撃ち始めた。
吹雪は見切りで回避しながら光奈に接近していった。
光奈は熱球体を一つ出して四角く伸ばして吹雪に面が当たるように発射した。
吹雪は迂回は時間の無駄と判断したため流体無焦点で手刀を振って空破斬を放った。
ドコーン
二つは相殺されて無となり吹雪は更に光奈に急接近した。
光奈は準備が間に合わないと判断したため不完全ではあるが至近距離で超高出力の雷を放つこととした。
吹雪は不敵な笑みを浮かべていたが光奈は構わず発射した。
吹雪は予想通りの超高出力雷が飛んできたため移動しながら細工しておいた足で蹴っ飛ばした。
「は?」
光奈は雷が自分に返ってきて意味がわからなかったがそれでも反射的に身体が動いて致命傷だけは免れた。
「いたた、どうなってんのよ。なんで貴方が魔法を使えるの?」
吹雪は楽しそうにしながら答えてくれた。
「なんでとはこれまた簡単な質問だね。光奈が炎熱系統魔法を使えるようになったのと同じで私は小さいシールドを張れるようになったんだよ」
そう言って吹雪は自身の足を指差した。
確かに5cm5cmの正方形が足に張ってあった。
「そんなので跳ね返したのか…しかも私のあれでも破壊できないなんてよっぽどすごいんだな」
「それは一つ勘違いをしているよ。確かに事実、私は貴方の雷を跳ね返せるほどの剛性を実現していた。しかし瞬時にあれを生成しろと言われたら無理だね」
吹雪のセリフを聞いて光奈はもう気づいたようだ。
「なるほどね。つまりは時間をかけて高剛性にしたというわけか。私の完敗だよ。いい試合をありがとうね」
「こっちもありがとうね。久々にここまで引き上げたよ。さてと香澄、そろそろ私たちにとってのこの世界の終わりへ向かおうじゃない」
香澄は急に話しかけられたがその真意をすぐに読み取って脳使用率を一旦戻した。
「わかったわ。とりあえずあいつにも話していい案をもらってくるわ」
香澄はそういうと颯爽と家に帰っていった。
「貴方もこの世界での探求の終着点がみたい?」
「もちろんだよ。何か進展があったら連絡ちょうだいね」
そう言ってこの熱く痺れる戦いは幕を閉じた。
「…というわけよ。何かいい案はあるかしら?」
てんちょうを家に呼び出して
「なるほどな。まあ流れとしてはええ感じや。後はあれやな、
香澄はその質問に対して少し長めに考えてから話しはじめた。
「そうね…私たちと同格持ってきてあとは闇魔法を使えるようにさせる予定よ。この方法は簡単ね。会長は既に闇魔法を習得していていっぺん瀕死まで持っていけば数日後に並んでいるわ」
てんちょうは引っかかったことがあるので聞くことにした。
「なんで会長が闇魔法を使えると知っておるんや?見たことないやろやっとるところ」
香澄はもらったと言わんばかりにクスリと笑って解説をした。
「そうやって貴方が突っかかってきたからよ。貴方はまた私たちのブラフに引っかかったってわけね。貴方はあの時そうなんやなとか言っておけばよかったのよ」
てんちょうは悔しそうな顔をしていた。
「くそー!なんでそんなに頭が回っとるんや。まあええわ。今回も私の過失でしたよ。次回からはこうはいかんからな」
てんちょうはそういうと亜空間を生成して帰っていった。
「ああ、最高な気分だわ。爽快ね」
香澄はとりあえず雪梛が帰ってくるのを待っているようだ。
その時に玄関が開いた音がしたのでタイミングがいいと思った。
「ちょうど終わったところ?まあいい顔しているんならてんちょうに一矢報いたんだろうね」
雪梛は部屋に入ってきて座った。
「ええそうよ。ブラフが決まったわ。これだからブラフはやめられないのよね。さてと、今回はかなりの収穫があったわよ。会長は闇魔法が使えるということよ。強化方法は自力だと言っていたからこちらでどうにかする必要があるわってぐらいね」
香澄から話を聞いた雪梛はスマホを取り出して文章の記入を開始した。
そうすると目の前に
「あら久しぶりじゃない。ところでこれはなにかしら?」
朝月は予想がつきながらも一応聞いた。
「もちろん原初に帰ってもらうよ。このままいるとかなり面倒だからね」
そう言って雪梛は躊躇なく朝月を突き飛ばした。
「また別世界で会いましょうねー」
そんなことを言いながら朝月は異次元に飛ばされた。
「どうするのかしら?会長の強化方法は」
「それはかなり難しい問題だけどそうだね。そしたらこうすればいいんじゃない」
雪梛は概要を伝えた。
「いいじゃない。そしたらさっさと準備して明日いくわよ。会長には私の方から連絡を入れておくわ」
そういうと香澄はスマホを取り出して電話をしていた。
雪梛は原初の世界で作った見切りの概要図を見ながら思考を回していた。
翌日となり雪梛と香澄、そして会長は草原に来ていた。
「この世界の物語ももうおしまいが近いのねー。なんだかはやい気がするわー」
なぜか会長は話してないことを知っていた。
「なぜそれを知っているのかしら?」
「ふふ、雪梛は私に聞きたいことがあるんだじゃないの?」
会長と香澄は雪梛の方に視線を向けた。
「会長、物語というものをどこまで把握しているの?もしくは作者としてこの地にいるの?」
会長はようやっとかという満足感のある顔をしてから答え始めた。
「そうねー。とりあえず私は作者というと立ち位置としてはこの地にいないわよ。まあ建前というかなんというかっていうだけでここの物語を書いているのは事実なんだけどね。まあそこは一旦おいといてもらって、私はこの物語というものをある程度は把握しているよ。もちろん少し先にどのような物事が起こるか程度しかわからないんだけどもね。最初の頃はなんで書けないのか不思議だったけどその日に貴方たちがきてくれて納得だったわ。さてと、じゃあそろそろやろうじゃない。この物語の終焉を飾れないだろうけどそれに近しい死合を」
会長はセリフを言い切ると即座に覚醒して準備万端?のようだ。
「どっちが戦うのかしら?最近連戦だったからここは紅葉かしらね」
「よくわかっているじゃない。その通りよ会長。それよりもいいのかしら?本気にならなくて」
「そうか観察眼があるのね。いいわ見せてあげるわ。ここの世界に来て初の本気よ」
会長は目を閉じて1分ほどかけてゆっくりと封印をとき集中力を高めて始動した。
「お待たせしたわね。これが私の正真正銘の本気よ。そっちも本気で来なさい。さもなくば瞬殺よ?」
「わかってるわよ。久しぶりで楽しみね」
香澄は色付きの状態になってから更に思考をクリアにして視野を広げた。
どうやらいつのまにか特訓していたようだ。
「これが私の本気よ。色取りの香澄。お相手願うわ。底知れぬ会長」
「かっこいいね。色取りの香澄なんて。そしたら私も名乗ろうかしら。私の名前は
ようやっと名乗ってくれたようだ。
「いい名前ね。貴方にピッタリだと思うわよ静樹。でははじめようかしら」
この世界の歴史には残らないが心には残るバトルが始まった。
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