特殊ケースのバトル
「久しぶりにのんびりするね」
「そうだね」
防衛団への報告を終えた2人は山の山頂で身体を伸ばしていた。
着いたら香澄が無双していたことや香澄と戦い勝利したこと。
それらを伝えたら香澄に勝利したことがすごかったらしくボーナスをくれた。
最も特段お金を使っていない2人からすれば大したものでもないが。
「この後何する予定?」
「修行。言映は?」
「奥義の強化」
2人は今日も今日とてさらに強くなる予定のようだ。
「あなた達は趣味も無いのかしら」
「うわ、いつから居た?」
「予定を話すあたりから」
「嘘でしょ。最初から居たじゃん」
「雪梛気づいてたの!?」
言映だけが気配読みできずおいていかれている。
「なんでここに来たの?久々にタッグでも組むの?」
「質問はひとつずつにしなさい。1つ目の答えは暇つぶし、2つ目の答えは組むのも良いけど先に言映と手合わせしたい」
急に
「なんで私!?」
「あなたの戦闘だけまだ見れてないからよ」
いかにも正当そうな理由をつけているが香澄は相当強く言映自身戦闘になったら相当まずい予感がした。
「どうせ戦うなら特殊なケースにしようよ」
「どんなケースかしら?」
「持ち武器がなく殴り合うケース」
「いいじゃない」
(よしきた)言映はそう思った。
なぜこんなケースにしたかというと言映は火力重視の戦い方をしていて刀の軌道を変えられてしまうと一方的に撃たれて死んでしまうからだ。
「あなたの事だから何か分が悪いとでも思ったのでしょうけどいいわ。やりましょう」
「ルールはどうするの?」
ここで雪梛が聞いてきた。
「審判のついでに決めといてよ」
「しょうがないな。いいよ」
「ありがとう」
「すまないわね」
「少し時間貰うから準備しといて」
「了解」
雪梛は2人が互角になりそうなルールを感がえ始めた。
2人は少し離れで話している。
「何で分が悪いって分かったの?」
言映は最初に気になったことを聞いてみた。
「あんな特殊な条件じゃ裏があるに決まってるわよ」
「バレてしまったとは」
「もっとましな条件にしなさいよ」
「なんて呼べばいいの?」
「急になによ???」
香澄は戸惑っている。
「自己紹介してないじゃん」
「なるほどね」
「じゃあ私からするわ」
言映は少し胸を張りながら言った。
「私は言映。呼び方は何でもいいよ。私は二刀使いでAT型で頭が使えないぐらいかな」
「最後のは自虐ネタかしら?」
「いいや、事実」
香澄はどんな反応をすればいいか迷った。
「じ、じゃあ今度は私がするわ」
「自虐ネタ?」
「ちがうわよ!」
言映はからかえるぐらい緊張がほぐれた。
「私は香澄。呼び方は自分で考えてちょうだい。知っての通り銃しか使えないわ。得意な銃の種類はハンドガンとサブマシンガンでATF型で頭が使えるぐらいよ」
「もしかしてバカにしてる?」
「いいや、事実よ」
先程のネタをしっかり返して遊んでいる。
「2人とも準備いい?」
「なんか早くない?」
雪梛はものの10分程度でルールを考えたようだ。
「私は大丈夫だわ」
「私もOK」
その返事を聞くと雪梛は2人を簡易会場へ案内した。
「会場から説明すると、正方形の10×10mで組まれていてここを出たら負け。背中とかは会場内なら着いてOKで勝てないと思ったら降参もあり。」
「つまりぶっ飛ばされなければいいの?」
「そういうこと」
「で、身体以外を使うのはなしだよ。もし使ったら反則だよ。まあ、ルールはこれくらいかな。」
「もし反則をしたらどうなるの」
香澄が質問をした。
反則をしてもそれを制する者がいないと思ったからだ。
「私がボコボコにするから大丈夫」
「なんであなたが必勝前提なのかしら?」
香澄は挑発気味に聞いた。
「香澄はボクシングの試合を知ってる?」
「知っているけど何かしら?」
「例えば世界大会があったとして決勝戦があります。そこには審判がいます。審判は世界一のボクサーを止められるでしょうか?」
「止められるでしょうね」
「それ何故?」
「審判をしている以上何かしらの特殊技を持っていてそれでボクサーを取り押さえることが出来ると思うわ。…あなたもなにか持ってるわけ?」
「ご名答。特殊技を私が使える限り香澄たちの打撃技は一切入らないよ。最もまだ研究中だけど。」
「刀などの斬撃は入るのかしら?」
「うん。もちろん」
香澄はどんな技を雪梛が使うのか検討がつかなかった。
「じゃあ、あなたにパンチを入れていいかしら?」
「なんでそうなるんだよ」
言映が久々に声を出した。
「いいよ」
「いいのかよ」
雪梛は構えをとった。
全身は脱力しきっていて避けはしなさそうだ。
「ふっ」
香澄は思いっきり力を込めて腹を殴った。
先程は銃しか使えないと言ったが、これでも激戦をくぐりぬけてきた方だ。
鍛え方に不備があるとは思えない。
ドーン
「よし、成功した」
「っ!」「……!」
2人はおどろいた。
雪梛は5m程離れた場所の気に激突してさらに木が倒れてしまったのに雪梛は無傷だ。
「じゃあ技を見した事だし始めるか」
「今のはどうやったのかしら」
「試合が終わったら教えてあげる」
そう言って雪梛は2人をフィールドへと追いやった。
(まずいかも)
言映は今のパンチをみてそう思った。
銃しか使えないとか言っていたから自分と同等火力かと思っていたが予想以上だ。
しかも相手は気配感知をつかえる。
こちらがパンチをしようとしたら軽くだが読まれてしまうため回避が普通よりもワンテンポ早くなってしまう。
よって避けられてしまう。
(まあ何とかなるか)
「私から行くよ」
「お好きにどうぞ」
香澄は余裕のようだ。
しかし行くしかない。
言映は走り出し香澄の右肩目掛けて右ストレートをいれた。
(やっぱりか)
殴り掛かる前に少し肩を引いてきた。
衝撃を減らすのだろうか。
そう思った瞬間に言映の右拳に肩パンを入れてきた。
威力が相殺されたため言映はバックステップを踏んで距離を離した。
「中々凄いことやるじゃん」
「言っている場合かしら」
言映は軽口を叩きながら策を考えていた。
「そっちから来なよ」
「あなたにしてはいい判断ね」
あえて先手を取らせた。
(あたしの感は外さない)
言映の策とは相手の1歩目を見てここに来るだろうで戦うことだ。
香澄が仕掛けてきた。
(ここだ)
言映は身体を左回りして香澄のストレートを避けた。
(中々速い)
香澄は空ぶったあと身体を切り替えして腰を狙った。
言映は回った勢いを利用して右ストレートで相殺した。
今度は香澄がバックステップで距離を取ったが言映が踏み込み腹に左ストレートを打った。
香澄はそれをわざとくらって少し吹っ飛ばされたが体勢を低くして重心をもどした。
ここぞとざかりに言映が乱打を入れようとしてきたが低い姿勢の香澄が言映の腹目掛けてアッパー気味のパンチを入れた。
ここは読み切れなかったらしい言映がくらってしまった。
離れようとしたが香澄が逃さなかった。
言映のバックステップに合わせて自分も距離を詰め足を狙いに行った。
香澄の方が跳躍距離が遠く言映の足目掛けて前蹴りをした。
(なんだこれは?)言映は香澄の蹴りの理由が分からなかった。
あまり威力が無さそうだし吹っ飛ばしきれる距離でもない。
現在フィールドの中心から2m程度だ。
8mも飛ばせるはずは無い。
しかし、近づいてきたときに気づいた。
香澄は言映の体勢を崩しに来たのだ。
言映は現在香澄より浮いていて避けることが出来ない。
(ここだ)
言映は香澄の足を踏み台にして香澄を飛び越え着地した。
香澄は一度言映の方を向き構えを取った。
「攻撃してきていいわよ」
香澄は言映に言った。
「遠慮なく奥義やっちゃうよ」
言映は体勢を低くして力を溜めている。
(乱打でもしてくるのかしら?)
香澄はそんなことを考えながら言映を見ている。
ふいに言映が動き出した。
一発目は正面そして直ぐに離れ今度は香澄の左から、そしてまた離れ別の場所から。
「初月乱舞」
久しぶりの技もミスなく決まっている。
しかし香澄にはダメージが入らない。
「いい狙いだわ」
香澄は声をかける余裕もあるようだ。
「まだまだ!」
言映はさらにスピードを上げた。
また、パンチが軽いと思ったのか重さも意識し始めた。
しかし殴ったときの感覚が変わらない。
(なんの技を使ってるんだ?)
言映の疑問と同時に香澄の動きが変わった。
香澄は言映の次のパンチを軽く予測した後とんでくる拳に合わせて左で相殺を打った。
言映は次は腰あたりを狙うと思ったが、微妙に外してしまった。
香澄の右ストレートが腹にとんできた。
腰を拳に合わせて引こうとしていたが感を外してしまい対処が間に合わない。
言映は体勢を立て直そうとしたが間に合わなかった。
香澄の左拳が言映の右肩目掛けてとんできた。
言映はさらにその後左肩、胸を打たれて場外に出てしまう。
「はい、そこまで」
雪梛の合図と共に香澄の勝ちが確定した。
「くっそー、乱打の後に乱打とはなかなかやるではないか」
「誰目線で喋っているのよ」
香澄は呆れながら言った。
「そんなことよりも雪梛さっきの技を教えなさい」
「さっきの試合がそんな事だと!?」
言映がオーバーリアクションをしている。
「いいよ」
雪梛は約束どおり承諾した。
「でも説明が難しいからまた一つ例をあげよう」
今回は言映もしっかり聞くようだ。
「カーテンが1つ窓にセットしてあったとしよう。あなたはそのカーテンを殴りました。殴った感覚、カーテンの傷具合はどうでしょうか。なお、この問題には答えがなくカーテンの後ろの窓はかんがえないものとする」
「あなたは問題が好きなのかしら?」
「例にしやすいし意見が聞けるからだしてるだけ」
雪梛はそう答えると香澄に答えを促した。
「私も答える?」
「どっちでも」
「答えてもいいかしら?」
香澄は答えがまとまったようだ。
「いいよ」
「まずカーテンを殴った感覚としては軽いけど感覚は残ると思うわ。その理由はそもそもカーテンは質量が少ないから思うようには殴れないと思うわ。だけどカーテンは壁に掛かっていて受け流しの様な動きになるから感覚が少しだけ残りカーテンには傷一つつかないと思うわ」
「私の言いたいことを全部言ってくれたけどその通り。カーテンは受け流しの動きを取り波打つような動きで衝撃を空中に振動化して流している。」
「なんか凄そうな話ししてついてけないんだけど」
言映は訴えたがスルーされてしまった。
「あなたはそれを応用してさっきの私のパンチを流した訳?」
「だいたいそんな感じ。細かく説明するならば、まずは身体を脱力させる。このときに少しでも力が残っているとダメージをくらうから完全に脱力をさせる。次に攻撃をくらった瞬間に身体の末端に振動を誘導する。これは感覚だから難しいけど。そしたら最後は足に誘導した振動は地面へ、手に誘導した振動は手を軽く振って空気中へ。これが完璧に決まると衝撃吸収から放出までできる。」
「あなたはキチガイにでもなったのかしら?」
「もともとだから今更だよ」
「もともとかよ」
言映は懲りずにツッコミを入れた。
「キチガイじゃなきゃ見切りなんて使えないでしょ」
言映はやっとスルーされなくて嬉しかったがひとつ疑問ががあったので聞いてみた。
「見切りとその技があればノーダメージ戦闘ができるんじゃない?」
「私の見切りはあいにく脱力中に発動できないから現状は無理」
「なんで脱力中はできないの?」
「私の見切りは集中しているときだけ使えるんだけどそのときに集中力を結構使うの。最大値をを100として考えると両手両足に2ずつ、脳に12で見切りに80になるわけだけど脱力を完全にするには結構集中しないといけなくてそうすると両手両足に10ずつ脳に12見切りに48になるからそうなると気配感知程度の運用になるから新技が決まらない可能性がでてくる。この技は衝撃吸収でしかないから失敗したときに防御ができなくなり行動ができなくなる。こういう理由もあるし拳に斬撃能力のある武器が装着してたら使えないから」
「なかなか上手くは行かないもんだねー」
「あなたはそんなに技の詳細を晒していいのかしら?」
「バレたところで対策の取られるようなものじゃないと思っているから。」
雪梛は本当にバレようが良いと思っているようだ。
「しばらく暇だから一緒に行動しようよ」
「すごい急ね。でもいいわよ。私もこれから暇になるところだから」
「急に組んでいるけどどっかに殴り込みにでも行くつもり?」
「いや。なんとなく組んだ」
言映は適当な雪梛を呆れている。
「私がいい場所知っているわよ」
「よし。明日の6時にいつもの山集合。香澄には後で教える」
「分かったわ」
「OK……てなるか普通!だいたいどんな場所なのよ。説明ししなさい!」
「違法組織よ」
「よし。早速帰宅だ。あたしは休憩しなければならないから」
「切り替えが早いわね」
香澄は少し驚いていたが雪梛からの質問がきた。
「今は家あるの?」
「もちろんないわ」
「なんでないの!?」
本当に帰る準備をしていたのかストレッチをしていた言映が振り返った。
「今までどこで寝てたんだよ?」
「制圧した組織の建物で寝てたわ」
「昨日寝ていた場所は?」
「暇だから解体してたわ」
「なんで解体してるの?」
「防衛団がやかましいから。あとお金が貰える」
「そのお金は?」
「全部預けてるわ」
「どのぐらい?細かくでなくていいから」
さらっととんでもないことを言映が聞いている。
「5とか6とかよ」
「桁は?千万?」
「細かくなくていいって言ったじゃない。あと桁がひとつ上よ」
「は?」「もうそんだけ溜まってんの?」
「もういでしょ、私はさっさと帰るわ」
居ずらさを感じたのか香澄は無いはずの家へと帰って行った。
「どこに帰っていったんだろうね」
「大体検討はつくから大丈夫」
雪梛にどこに香澄が行くのか聞きたかったが急ぎ気味になぜか帰っていたので聞けなかった。
「扉があいているわけないでしょ」
空を眺めていた香澄に雪梛が声をかけた。
「あら、思ってたより速かったじゃない。さあ、さっさと開けてちょうだい私は休憩をしなければならないの」
ツッコミを入れようかと思ったがやりたいことが沢山あるのですぐに扉を開けた。
「はいどうぞ。飯の調達は各自ね。外出してもいいけど私に言わないと締め出すかもよ」
「分かったわ」
香澄は指示に対し返事をしたら靴を揃えてすぐにシャワーを浴びに行った。
雪梛はこの前久々に使った自転車の整備をしていた。
1時間程整備をして家に入ると香澄がドライヤーをかけながら髪をとかしていた。
「終わったら声かけてね」
「ええ」
そう言うと雪梛は自分の準備を始めた。
ご飯の準備をしていると香澄から声がかかった。
「終わったわよ」
「分かった。私今ご飯の準備をしているからまだ行けない」
「私の分は?」
「買ってきた材料分あるよ」
「ありがとね」
香澄はさっき買い物に出て自分の飯の材料分を雪梛に渡し料理してもらっているのだ。
「料理ぐらいできるようになりなよ。はい、できたよー」
「作って貰っちゃって悪いわね。有難く食べさせていただくわ」
香澄は返事が来る前に食べていた。
雪梛はすでにシャワーを浴びにいっていた。
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