異質な少女とのバトル!?
日が出ていなく暗い山の中に二人の少女がいた。
「じゃあ行こうか」
「OK」
少女達は自転車にまたがり走り出した。
目的地までは10kmなので軽く漕ぐ程度で着きそうだ。
「風が気持ちいいね」
言映が涼しそうに言った。
早朝で元々人通りが少ないため人が居なく、
いくらでもスピードが出せるようだ。
「段差にだけは注意してね」
雪梛は一応言映に言っておいた。
目的地周辺まで行くと建物が見えてきた。
「ひゃー、思ったより大きいねー」
「柵も意外としっかりしてるよ」
これから斬り合う人達とは思えないような雰囲気で自転車を止めた。
少女達は組織に向かって歩きはじめた。200m程はありそうだ。
組織の裏側に着いても辺りは暗くまだ4時30分頃だった。
「結局何をすればいいの?」
「全員ぶった斬る」
「OK」
そんな会話をしながら二人は体を伸ばしていた。
準備運動を終えた二人は入口のある正面に向かって歩き始めた。
正面から入りいつでも抜刀できるように準備していると少し違和感を感じた。
「なんか人がいないね」
「強襲されたあとみたい」
そんな話をしていると急に背後から
「遅いわね。防衛団の新人さん」
二人が振り向くと一人の同じ年齢ぐらいの少女が立っていた。
「あなたもここの強襲にきたの?」
「違うわ、暇つぶしよ」
「私たちの仕事なんだけど…」
雪梛がそう言うと
「あらそうだったの、あなた達が遅すぎるから終わってしまったわ」
気にしてなさそうにそう言った。
「あんた名前はなんて言うの?」
「香澄じゃないの?」
雪梛が名前を聞いてみると
「その通りよ」
肯定の答えがかえってきた。
二銃分析
精密射撃の香澄かすみ(16歳 女 銃)ATF
剣士が強いこの世界で多分唯一銃で強者まで
上り詰めた者。身体能力がとても高く好戦的。ハンドガンとサブマシンガンを好んで使用している。
言映が驚きながら
「なんで名前知ってんの?」
雪梛にきいた。
「この世界の銃使いなんて香澄さんぐらいだから」
言映に呆れながら雪梛は言った。
「私と戦ってよ」
雪梛は香澄にそう言った。
「いいわよ。ちょうど準備運動もおわったし」
そう会話しながら距離をとった。
「私も入っていい?」
「だめ。一騎打ちだから」
言映はしぶしぶ離れた。
「いいかしら」
「いつでも」
そう言うと香澄はいきなり仕掛けてきた。
香澄の使用武器はハンドガンとサブマシンガンの二丁という珍しい組み合わせだ。
雪梛は香澄の動き、トリガーの力の入れ方、殺気のまじった気配などを読み取りながらサブマシンガンの銃弾を避けていく。
接近戦は分が悪いと思ったのか雪梛は一度距離を置いて準備し始めた。
「マイゾーンね。きなさい」
香澄も雪梛に集中しはじめた。
雪梛は香澄のほうに弾丸の如く走って抜刀した。
そのままきりぬいたと思ったが香澄からは血が流れない。
香澄に刀が触れるギリギリでサブマシンガンで刀の軌道をずらしたのだ。
「外したのは2度目だ」
「あなたも強くなっているわね」
二人は旧友のように話している。
「貴方が見してくれたから私も見してあげるわ」
そう言うと香澄はリロードして雪梛に標準を合わせた。
香澄は雪梛のお腹に向けて1発、そして雪梛の左上と右下に撃った。
雪梛は腹部にきた弾を左下から右上に刀を振り斬った。
半分に切れた弾丸が香澄の撃った左右の弾丸に当たり跳ね返って再び雪梛を狙った。
しかしこれを読んでいたらしく刀をクロス字に振って防いだ。
「よく読めたわね」
「分析は得意なもんで」
そう言うと今度は雪梛が仕掛けた。
体を低くしてあしを狙った。
雪梛は弾丸を避けながら更に切りかかる。
しかし刀はサブマシンガンにより軌道をそらされる。
ここで香澄が仕掛けてきた。
雪梛の後ろ側の壁に弾を当てて跳ね返しを狙った。
しかしこれも読んでいたのか雪梛は少し右にずれて避けた。
香澄は自分に返ってきた弾をハンドガンで撃ち返した。
雪梛はそこまでは読めなかったのか左足に一発もらってしまう。
雪梛は一旦距離をとった。
「流石のあなたでも厳しいんじゃない?」
「こんなんかすり傷だ」
「かすってないでしょ」
「うるさい」
雪梛は手をねらって走り出した。
香澄は左右の肩膝を狙って撃ってきた。
雪梛は弾を切りながら進んでいくがさっきほどスピードがでていない。
雪梛が切りかれば弾で弾かれ、香澄が撃てば弾を切られる。
今度は雪梛が仕掛けた。
雪梛は突進しながら飛んできた弾を刀のひらでもらったと同時に勢いを流しながら刀から手を離し後ろに飛んだ。
刀の先端目に当たった弾の反動で刀が雪梛の方に飛んだ。
雪梛は壁を蹴って加速をして返ってきた刀をもちマイゾーンの応用で斬りかかった。
流石に読めなかったのか香澄は左足にもらってしまう。
しかし鋭い反射神経により足をザックリとはいかれなかったようだ。
「わざと足を狙ったわね」
「そんなつもりはないな」
会話をしているが両者は動かない。
「そろそろ決めましょう」
「ええ」
次の仕掛けで決まる。
二人はそう思いながら接近戦を始めた。
既に20分程戦っているが両者に疲れは見えない。
(いまだ)
仕掛けたのは香澄だ。
銃で雪梛の足下を撃って雪梛を後退させ弾を5発撃った。
お腹、右壁、左壁、雪梛の後ろの方に2発。
雪梛は腹部にきた弾と左右からきた弾を同時にさばいた。
しかし後ろから壁を反射してきた弾が雪梛の斬った弾をさらに返してもう一度雪梛にとんできた。
読み切れずに両腕にもらってしまう。
「諦めたらどうかしら」
「まだだ」
雪梛は中々出血をしていてふらついてきた。
しかし雪梛の失わない闘志に香澄は懐かしさを感じた。
雪梛は頭が上手く回らないのに集中できている。
先程よりも更に集中して風の音すらも邪魔にならない程に。
香澄はこの事態に気づいたらしく防御の体制をとる。
「第2ラウンドだ」
雪梛がそう呟いた。
そしていつものマイゾーンを構えた。
香澄はサブマシンガンで刀の軌道を変えるつもりかリロードして構えている。
しかし何かに気づき反射的に胸を逸らした。
次の瞬間雪梛は香澄の後ろにいた。
香澄は驚いて振り返ったが自分の胸を少し浅めにきられていることに後から気ずき少しだけ驚いた。
「決着ね。この勝負は貴方の勝ちよ」
「ありがとう」
互角の戦いが雪梛の覚醒により勝負をつけた。
「今の技、凄かったわ。技名は?」
「刹那のマイゾーン」
即決な技名だが雪梛は気に入ったようだ。
「香澄はこれからどうするの?」
「家で本でも読もうかしら」
「あんたたちはどういう関係なの?」
言映が乱入してきた。
「昔闘って組んで別れた」
「めちゃくちゃだな」
呆れながら言映は言った。
「あなた達防衛団は基本緩いけどたまにヤバいやついるから気をつけなさい」
「分かった」「分かりました」
「私たちはそろそろ行くか」
「そうだね」
どのように報告しようか考えながら帰り始めた。
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