第3話

翌日になり、期末試験一日目が始まった。

真夜は教室に惟子がいないかと探した。しかし、惟子の姿はなかった。


「なんで今日は試験当日なのに学校に来てないんだろう?」と疑問を抱えた。

幸いにも期末試験当日のこの日はクラスメイトもいちいち昨日のことは何も言ってこなかった。

それぞれが試験直前の復習で忙しいのだ。試験開始ギリギリまで教科書を読んだり書き取りをしてる者、友人同士で問題の出し合いで復習をしてる者など様々だ。


真夜も試験直前ということで教科書を開く。しかし、やはり昨晩と同じくあまり頭に入ってこなかった。ただ文章を流し見してしまうだけで、心の不穏さの方が大きいのだ。


一限目のチャイムが鳴り、教師が入ってきた。


こうして期末試験一日目が始まった。


 今日は三科目で英語・数学・国語だった。


 しかし、試験が始まっても惟子は登校してこず、結局そのまま惟子は欠席のまま一日が終わった


 三科目の試験が終わり、明日の試験に備える為に今日は午前のみで下校になる。


 三限目が終わり、それぞれが下校の準備をするところ、真夜は惟子が来なかったことが気になり、教室を出て行こうとする男性の担任教師を呼び止めた。


「先生、なんで木村さん来てないんですか?」


 真夜がそう聞くと、教師はこう言った。


「木村は風邪の症状が悪化したんだと。昨日は風邪で欠席だったが、夜中に試験勉強をしようと無理をして肺炎になったそうだ。ちょっと症状が重いみたいで、しばらくの間休むそうだ。期末試験は後日、個別で受けさせてほしいとのことだ」


「そう、ですか……」


 期末試験前日ということもあり、惟子は体調が芳しくないという状況だが無理をして期末試験の勉強をしようとした末に身体を崩した。


 あの日の絵を壊したことでの緊張と恐怖による心労もあったのかもしれない。自分がその気持ちで昨晩は不安になってしまい心が重たかったので、それがかえって惟子を悪化させたのではと。


 家に帰り、惟子に電話をしようかと思った。


 しかし、惟子は今、肺炎で苦しんでいるところだろう。ただでさえ身体が深刻なところへ、電話をして余計な心配をかけてしまうと不安にさせるだけだ。それではますます回復しない。


 惟子の身体の調子が良くなるまで、余計な心配をさせない為に黙っていようということにした。

その期間、ずっと学校にいるのは真夜一人なのだ。


試験は木曜日と金曜日なので明日もある。

気乗りしないが、また明日の為に勉強をせねばならないと思いつつ、この日も結局うまく勉強が身に入らなかった。


翌日、やはり惟子が学校に来ないまま試験が終わった。


真夜はというと、今回はあのこともあり、常に心が追いつかず不穏だった為になかなか勉強が入らなくて試験中もわからない問題ばかりだった。


今回はうまく行かなかった。きっと試験の結果はボロボロだろう。

「やっぱり、うまくいかなかった……」

いつもは平均点を取ることができる真夜だが、おそらく今回は無理だと察した。

勉強が身に入らないどころか、試験中も教室にいることが緊張感で問題文もよく読めなかった

学年末最後の大事な試験だと言うのに、期末試験もうまくできなかったのである。


 こうして真夜は試験がうまくいかなかった。

しかし、今日はこの後に予定がある。

真夜は急いで家に帰った。試験が終わったら、すぐに行かねばならない場所がある。

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