第2話


 「ふぁ〜。もう朝か····」


 ベッドの上で横になりながら俺──アントは欠伸をした。


 俺はベッドから起き上がり伸びる。まだ春になったばかりのため朝はまだ肌寒い。


 伸び終わった時、ドアがノックされる。


「起きたー?」


 うん、と妹からの問いかけに応えながらベッドから抜け出し、スリッパに両足を通す。


 タンスから麻で出来たシャツと、綿の短パンを履き、脱いだパジャマはヘッドの上に投げる。


 自室を出た直後にいい匂いが鼻腔をくすぐった。


 顔を洗って、軽く歯を磨いてから食卓のいつもの席に座る。

 トーストに目玉焼き、オニオンスープに色彩豊かなサラダが目の前に広がっていた。


 顔をあげ、エプロン姿の妹を褒める。


「今日も美味しそうだな!」

「ありがとー」


 妹はハチミツと刻んだレモン入りの飲むヨーグルトを空のコップに注いでくれた。


「はい、お兄ちゃん。これから直ぐにカロリー使うっしょ?」

「さんきゅー。まあ、だろうからな」


 俺は受けった特製飲むヨーグルトを一気に胃に流し込む。爽やかな柑橘類の酸味と優しいハチミツの甘さが胃袋を刺激し、食欲を掻き立てる。


「じゃあ、いただきます」

「いただきます」


 合掌を解いて右手でフォークを取り、左手でサラダの入ったボウルを持ち上げた。


「そうそう。ベジファースト。ようやく覚えた?」

「でも空腹時に一番初めに食べるものが一番美味しく感じるんだから本当は····」

「だーめ。身体は資本でしょ。健康に気をつけなさい」


 はいはい、と答えてから俺は野菜を頬張った。シャキシャキといい音を立てる。


 俺は野菜を咀嚼しながら視線を窓の外にやる。今日も雲一つ無い快晴だ。


 今日も仕事頑張りますか、と心の中で気合を入れた。

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