第3話 とある少女は自分の魔法を知る。

石畳をコツコツと足音を鳴らしながら、冒険者登録所まで向かい、登録所のカウンターへ行く。

が、わからないので、近くの職員さんに聞いてみる。


「すいません。えっと....」

「あっ!冒険者登録の方ですか?」

優しそうなショートカットの女性に話しかけてみる。

私より4歳ほど年上に見える。

「はい。でも..場所が...」

「それでは、私のほうで、出来るのでついてきてください。」

「あ、有難うございます。」

「それでは此方へ。」

と案内された場所は、今までの石造りの建物ではなく、木造のこじんまりした建物だった。

小さいと思っていたことがバレたのか。

「あはは、小さいですよね。でもこのギルドはここから始まっているんです。だからここを中心にして沢山の建物ができているんですよ?」と言う。

「知らなかった....」

「あ」と職員は言う。

「名前聞いてませんでしたよね。私の名前は、ハネズ      サーシャです。」

飴色の瞳と柔らかい髪を持つ彼女はハネズ サーシャというらしい。

「私は、ニシキ トア リフィア。」

というとサーシャは驚いた顔をした。

「第三ネームまであるって、貴族様でしたか〜。」

そうこの国では領主やその家族の第三ネームにその土地の名前が付く。だから第三ネームがあるということは貴族になるのだ。

「でも...」

何か訳ありなことを察したのか、サーシャはそれ以上何も言わなかった。

代わりに透明な水晶板を持ってくる。

「それでは此方にお手をかざして下さい。」

透明な水晶の板の上に白く絹のような滑らかそうで華奢な手を置く。

その瞬間。ポワッとサーシャとトアが淡く白い光に包まれる。

「なにこれ。」

「す、凄い。。。」

慌てて挙動不審になっているトアを横目に呆然として目を輝かしているサーシャ。

「え、これってなんですか?」

「これは魔力の量や魔術のランクがどれだけ高いかで光る光量が違うんです。下から、紫、赤、蒼、白この順番です。そしてトアさんのは」

「白色.....」

「しかも魔術も珍しい星光魔術。光魔法の類です。」

「ずっと落ちこぼれだと思っていたから嬉しい。」

「そんなこと全然ないですね。むしろ今までなんでわからなかったのか知りたいくらいですね。あっじゃあ此方の紙にサインを。。。」

サラサラとサインを書いていく。

(やっぱり...お母様たちは私を落ちこぼれとして....)

そう思うと胸が痛む。

「それでは、此方冒険者カードです。説明は...」

「大丈夫...」

「わかりました。それでは行ってらっしゃいませ。」


これから世界を旅する冒険が始まることをとある少女は知らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある少女勘違い系()は旅をする。 月冴ゆる @erisujou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ