保健室

狼男

第1話 保健室の番犬

 高校生の時の記録である。

 僕は、保健室に通い詰めていた。2人の養護教諭と会話をした。

 高校1年生のときは、体調が悪くなって1回だけ利用した。

 2年生になって利用するようになった。蕁麻疹と吐き気が原因でしんどくなったら教室を抜けるようになった。

 僕のクラスは、選抜で持ち上がりのクラスで、人の入れ替えが少ない。希望すれば抜けることもできる。僕は、ほぼほぼ友達と呼べる人がいなかった。仲よくしようとした子もいたが、距離感がうまくつかめない。1年生のクラスメイトのうち、2人が登校拒否を起こしていた。先生がどのような対応をしていたのかは不明だ。2人とも、遅刻して時々学校に来ていた。

 自分は、緊張感もあって、なかなか周りに溶け込むのが苦手だった。パリピの中には、運動能力や芸術に長けている人がいて、比較して勝手に劣等感を持っていた。英語の発音が上手な人の多いことで、自分の発音の下手さにうんざりしていた。

 保健室登校が始まったとき、たまっていたものがあふれ出した。今まで、必死に授業についていこうとしたけどしんどかったこと、終わらない課題、部活のプレッシャー、閉鎖的な人間関係、固定化して居場所がなかった。

 そこから、授業のたびに体調不良を訴え、教室を抜け出した。

 保健室につくと、紙に体温と日付を記入する。そこでしんどさがおさまるまで、待機する。

 しんどさがおさまったら、教室に戻るを繰り返していた。担任の先生はこれから皆受験が控えているから、教室の出入りを減らしてほしいとのことだった。我慢すれば、なんとかなるものだろうか。

 保健室に行くと、たいてい話を聞いてもらえる。逃げたい場面があるとする。その時に、避難場所として活用した。僕は、自他共に認めるボッチだ。

 保健室に常にいる。保健室が第二の家みたいな感じになっていた。

 保健室のベッドも何回寝たか分からない。横になる習慣ができた。部活動も退部したので体力がどんどん低下していった。部活は、自分が退部したあとに、2人も抜けていったと風のうわさで聞いた。

 そのうちの1人は、退部届を出さなかったらしい。他の生徒と自分は何が違うか自問自答していた。他の生徒のほうが友達がいることから、精神年齢が上なのではないか、成熟しているのかと仮説を立てた。

 会話する人がいないから、妄想の世界に入り込むこともあった。保健室の先生とかなり話すようになって顔も覚えてもらった。保健室にいるデメリットは授業についていけなくなるということだ。その時間、教室にいないから、当たり前だ。保健室に行く理由は、いじめを受けていたからだ。コミュニケーションを駆使して攻撃してくる。強い言葉を浴びせられる。そこで教室で安心して過ごせないから、逃げ場として保健室を思いついた。担任は僕が保健室に行くのを感心していなかった。

教室を抜け出す生徒は、自分くらいで、授業中によく廊下を歩いていた。保健室登校しながらも、学校を休むことは片手で数えるくらいしか無かった。

 保健室を舞台にした物語である。

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保健室 狼男 @shinshin4445

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