第10話

ぎょっ。



「な、なに雪平くん?」



じーっと不思議そうな目がこちらを見ている。



「や、旭くんと藍原さんってすごく仲良かったんだなって思って」


「あー……」



あんなに絡んできたのは、高校入ってあんまりなかったっけ。




「旭はね、あたしと愛花と同じ中学だったの」



たしか中2の時に日直が同じになったことがきっかけで、旭とはよく喋るようになったのよね。



〝藍原〟と〝旭〟


出席番号1番の苦しみを共感し合える、言わば〝戦友〟のような存在で。


仲良いって言われたら、そうなのかな?


『すごく仲良い』ってのはちょっと違う気がするけど。




「……ほんとに、それだけ?」



……え?



「うん。よね、愛花?」


「んー?」


「……愛、花?」



そうそう! なんて続けて言ってくれる。


そう思ってたのに。

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