第8話

「今日サンドイッチだからお箸ないんだった……」



そっか。


それなら。



「雪平くん、あーん。……なーんて──」



ぱくっ。



わっ、え!?


たっ……食べた!



「ザ・豆鉄砲食らった鳩みたいな顔ね」



愛花に指摘されはっとなる。


でもびっくりもするよ。


完全に冗談のつもりだったんだから。



雪平くんて意外と大胆というかなんというか……。


そーゆーの全然気にしないタイプ?




「うん。おいしい!」


「本当? よかったぁ」



驚きの最中、モグモグと満足気に食べる雪平くんの姿に安堵する。


やっぱり、誰かに美味しいって言ってもらえるのって嬉しいなぁ……。



「へぇ。そんなにうまいなら俺もひとつ……」



パシッ。



「あんたはダメ」



我ながらナイス反射神経。


あたしは後ろから伸びてきた手を瞬時に掴み、低く言い放った。

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