第16話

「梓ちゃん、大丈夫?」



潤んだ大きなまん丸おめめ。


心配そうに垂れた眉。


目の前に、一人の天使が舞い降りた。



「なずなぁ~」



いてもたってもいられず、その天使に縋りつく。



「よ、よかったら、話聞くよ?」



……ああ、やっぱり天使だよ、この子!


あたしは目を輝かせて両手を組んだ。



この天使……いや、一ノいちのせなずなは、あたしの大親友で、同じサッカー部のマネージャー。


ゆるふわの長い髪が、彼女の愛らしい雰囲気によく似合っている。



えっとぉ……。



よし、まだ来てないわね。


確認したあたしは、口許に手を当て。



「実はね……?」



こっそりと、声をひそめながら話し始めた。

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