第17話

バレンタインに怜佑に告白しようか悩んでる。


言い終えるや否や、なずなの顔はみるみるうちに紅潮していった。


あたしはじっとその反応を待つ。


すると。



「梓ちゃんならいけるよ!」



なずなは興奮気味にそう言って、あたしの手を取り握りしめた。


その目は、キラキラと輝いて見える。



「そう、かな」


「そうだよ。あの、私、応援するから!」


「でも……」



そう言ってもらえるのは、すっごく嬉しいし、ありがたい、けど。



無垢な瞳から逃げるように、うつむく。



「いろいろ考えたら、やっぱりなんか、決意が揺らいじゃうっていうかぁ」



あはは、と力なく笑う。



しばらくして、あたしの手はそっと解放された。


流れる沈黙。


チラリ、目線を上げてみると。



「あのね梓ちゃん」



目に映ったのは、息を呑むほど真剣な表情で。


同時に、いつもより力強い声が耳に届いた。



「私ね。梓ちゃんには、どうしても後悔してほしくないの。憐くんとのこと……。頑張れたのは、梓ちゃんのおかげだし……」


「……っ」


「今度は私がついてる。だから、自分の恋も、頑張ってほしいな」



……なずな。



「私じゃ、頼りないかもだけど」



頼りない?


ううん、そんなことない。


全然、そんなことないよ。

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