第7話

「あれ、沙弥じゃん!」


「沙弥ちゃん! おはよう」



しばらくボーッとしていると、ドアの方から明るい声が聞こえてきた。


一気に気分上昇。


あたしは笑顔になってくるりと振り向く。



このクラス──兎月学園1年C組で“さや”は、南沙弥(みなみ さや)のひとりだけ。


つまり、あたししかいないんだもん。




「まなみん、涼子ちん、おはよー!」



近づいてくる友達ふたりに、大きく手を振った。



そう。あたしにはちゃーんと、仲良しの友達がいるんです。



山岸愛実(やまぎし まなみ)と、咲本涼子(さきもと りょうこ)。


ふたりとは小学校からの付き合いで、仲良くなったのは中学に入ってからのこと。



サバサバしてるまなみんは、アーモンド型の目が印象的なクールビューティー。


パーマがかかったセミロングの茶髪で、長い前髪を左右に分けて垂らしているため、形のいい眉がばっちりと見えている。



おっとりしてる涼子ちんは、ちょっぴりタレ目で、パッツン前髪がキュートな癒し系。


ふんわりとした黒髪は腰まであって、いつもオシャレなカチューシャを頭につけている。


生まれつきだという真っ白な肌は、どんなに日焼けしてもすぐ元に戻っちゃうんだって。

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