第6話
「っ!?」
コツン。
叫び声に振り向いたその直後、何かが額にぶっかって、地面に落ちた。
「ったぁ~」
ちょっと、なんなのよいったい。
驚いて声を上げながら、地面に視線を運ぶ。
そこにあったのは、白い……。
「紙ヒコーキ?」
右手でひょいと拾い上げる。
すると、「あー! それ俺のー!」と持ち主らしい男の子がこっちへ駆けてきた。
「悪ぃ、地味ナ……じゃなくて、み、南さん!」
彼はそう言うと、あたしの手から奪うように紙ヒコーキを取り、速やかに去っていった。
……何あれ、超感じ悪。
人にぶつけておいてあの態度はないでしょ?
内心ムッとして、それを抑え込むようにもう一度窓の外へ視線を移す。
「お前、ヤベーな」
「よりによって地味ナミさんとこ飛ばすとか、マジウケるし」
「ちょっ、わざとじゃねぇって」
“地味ナミさん”
あたしは、極一部の男子からそう呼ばれてるらしい。
きっちり編み込んだおさげ頭。
目にかかった重たい前髪。
分厚い細フレームメガネ。
今どき珍しい、そんな格好をしているから。
だけど一切気にしてない。
いや、構ってられないって言った方が正しいかもしれない。
誰になんと言われようと、あたしにはこうする必要があるんだもん。
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