第58話 初めてのお客さん!
奥で醤油が焦げる匂いがする、あゝ良い匂いだね。
「なんだこの香ばしい匂いは、嗅いだことが無い」
「ええ、凄くお腹の空く香りです」
「パパご飯まだ?」
どうやら団子が焼ける匂いで、お子さんは待てないみたいだ。
奥からイレーネが団子とお茶を持ってくる。
「今から串肉も来ますのでお待ちください」
更にオリーブが串肉を持ってくる。
「お待ちしましたか、串肉です」
さっきの塩串肉だね。
「おお美味しそうだ、これで銀貨1人2枚なんて」
旦那さんが値段を言うと奥さんは少し思案顔。
「貴方これって銀貨2枚なんですの?」
何かお値段に問題ありそうな雰囲気。
「そうだけど、冷える前に食おうぜ!」
「まあ高いですけど、午後は何もない所……えぇ美味しい」
思案顔が笑顔になる奥さん、子供もニコニコしている。
「だろう、不味かったら料金を返すと言われるほどの自信作らしい! 此処の場所で食べられる限定だそうだ、止まってよかったよ」
旦那さんは満足してくれているみたいだ。
だけど不味かったら金を返す自信作てさ? ただ焼いただけだろう?
「ご主人様、この肉の製法と、お団子の製法は何処にも有りません、此処に来ないと食べられない物なんです」
アーマーは俺に言ってくる、嬉しいけどね。
「そうです、この塩だって胡椒だって素晴らしい物なんですよ」
胡椒と聞いて、夫婦の手が止まる。
「胡椒を使っているの?」
「これ銀貨2枚で大丈夫か?」
急に不安がる商人夫婦、子供は笑いながら食べている。
「あゝ追加料金は無いので安心して食べてください」
アーマーが夫婦に言うと奥さんは。
「本当に本当に追加は無いんですよね?」
「はい、お代わりは料金が発生しますけど、先程頂いた料金には串肉2本と焼き団子を2本、後お茶は3杯までお代わり自由です」
イレーネが料金の話をすると、女性は更に聞いてくる。
「お茶は3杯まで飲み放題なんですか?」
「はい、お代わりが欲しければお声掛けください」
この言葉で夫婦は安心して食事を続ける。
3杯飲み放題って、どんな商売だよ?
「水も貴重で、沸かすには薪に火を入れます、更に料金が発生するんです、それを3杯まで飲める事は貴重なんです」
イレーネに説明されて納得する俺。
厨房では、腹ペコ冒険者達がどんどん肉を焼いている。
まあ、冷蔵庫がないからまあ良いか!
そして全て食べた商人さん達が追加のお茶を飲んで、一休み、俺は情報収集で話しかける。
「商人さんは何を売りに商売をしているんですか?」
「ええ反物の布です、ボロンクリフの街を回って売って来て、これからベリールールに行く所です」
「そうなのよ、あの国はあまり行きたくは無いんですけど、売れ残るよりは良いと売りに行くんです」
「あれ布を売っているの?なら俺にも……」
俺が言いかけた所で止められる。
「此処からは私が交渉いたしますご主人様」
何処からか端の尖ったメガネをした、商人が現れる、エイミーさんだけど!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます