第12話 砂糖を見て貰います!
部屋に入るとかなり大きな机、周りに椅子が10個ほど並んでいる。
指定された椅子に座ると彼女は対面に腰掛ける。
しばらくするとドアが叩かれて、女性が入ってくる。この人が此処のギルマスかな!
「サマディこの方が有望な商人になる方か?まだ子供じゃないか!」
俺を繁々と見て、受付嬢に違和感を伝える。
「大丈夫ですよ、商業ギルド受付嬢5年のキャリアの私が推薦する人物です!
恐らくはこのテーブルの上に、凄い商品が現れますよ!」
受付嬢は笑顔でギルマスに告げる、目は爛々だ。
「どうでしょう、あまり鍛えに答えて変な物を出すと落胆されるので余り期待しないで下さいね」
俺はそう言うと、砂糖の瓶を1つテーブルの上に出してみて貰う。
「どうですか?売れますかね?」
2人は瓶を遠目に繁々と見ている、何か問題でもあるのかな?
「なぁ白すぎないかサマディ?」
「えぇ私が知っている砂糖と違いますね、それに僅かですけど魔力が感じられます」
「あゝこんな物は見た事は無いな!本当に砂糖なのかな?」
疑問がありそうなので、蓋を開けて中を見せる。
「良ければ味を確かめて下さい、砂糖ですよ!」
慌てて受付嬢は部屋を出て、少ししてスプーンを持って再度入ってくる。
そして少しお互いの手に砂糖を盛って、味見をしてくれる。
「あ〜まい」
「うわー本当に砂糖だった、何でこんなに白いの?でも甘〜い」
2人とも砂糖と認めてくれたみたいだ。
「それでこれはどの位で買って貰えますか?ただまだ商業ギルドには加入してませんが買取は可能なんですかね」
「売るのは自由だ、冒険者達でも直接良い物はこちらに売りに来る奴もいる!
此処から卸値で買うのに入会義務が生じるんだ、後は掛売りかオークションの参加とかな」
ならば買わないで売るだけなら入会しなくてもいいかな。
「これはぜひ買う、もう少し無いのか?」
有るけどどうしよう、薬師ギルドにも卸さないといけないしね?
「それよりも値段を決めましょうよ!どの位の価値が有りますか?」
2人は考える、そして小声で相談している。
高額商品とか、オークションとかの声も聞こえるけどね。
「此処の商業ギルドで独占という訳にはいかないか?在庫も含めてな!」
ギルマスが提案してくるけど、この街に来てまだ2日何処に定住するか分からないのでこれは拒否だね。
「まだ旅の途中なので、独占販売は出来ませんね」
俺が言うと、また小声で話す2人、そんなに価値があるのかな?
地球なら1k200円だろうに、小分けして350gなら70円の価値しか無いはずなんだけどね?
「この瓶は、錬金術師ギルドに発注してある全国標準の瓶だ、これで取引なら黒砂糖で大銀貨5枚だけど、金貨5枚でどうだろうか?恐らくはこれほどの物はこの国に来た事は無い。価値はかなり高いと思うが?」
1つ瓶5万円、俺の砂糖なら50万円なの……此処で売って薬師ギルドはこの値段で買ってくれるの、商業ギルドに卸した方が良いのかな!
「やはり安いか、なら後金貨2枚追加の合計7枚ではどうか?」
ええと考えていただけで2枚増えたよどうしよう。
「実は薬師ギルドに卸す約束をしてまして、此処の値段に上乗せをしてくれるって話でね」
俺が一言言うと、すぐにギルマスは受付嬢に指示。
「すぐに薬師ギルドに行ってきて、ギルマスを連れてこい、あいつらが買えなければウチが独占する」
受付嬢は慌てて部屋を出ていく。
「あのー、もう一点塩を見て貰えますか」
俺が塩の瓶を出すと、また固まって瓶を繁々と見るギルマス。
これも何かが違うのかな?
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