第18話:翌日に凪と大学で出会う

 奈美さんと出会った次の日。大学にて。


「あれ? 凪じゃん。お疲れっすー」

「えっ!? あ、あぁ、うん、お疲れ様、大樹」


 お昼休みになったので大学の食堂に行くと凪がテーブルに座ってお昼ご飯を食べていた。その周りには凪の友達らしき人物はいなかった。


「もしかして今日は一人で飯を食ってる感じか? それじゃあ良かったら俺も隣で食って良いか?」

「う、うん。全然良いよ。ぼ、僕の隣どうぞ」

「あぁ、ありがとな」


 という事で俺は凪の許可を貰って隣に座っていった。そしてそのまま俺も昼飯を食べ始めていく事にした。


「もぐもぐ……って、あ、そうだ。そういえば昨日さ、凪のお姉さんと会ったぞ。お姉さんも喫茶店でバイトしてるんだな」

「へ、へぇ、姉さんに会ったんだ? そ、それは凄い偶然だね。ちなみに大樹から見て姉さんはどんな感じの人だった?」

「あぁ、めっちゃ人当たりの良さそうで優しい人だったな。印象としては優しい大人のお姉さんって感じだな」

「そ、そっか。優しい大人のお姉さんね。ふふ、きっと姉さんが聞いたら喜ぶと思うよ」

「そっかそっか。それとまぁやっぱり一番思った事は……奈美さんすっごい美人だった! 正直あんなにも綺麗な女の人を見たのは生まれて初めてだよ!」

「っ!? へ、へぇ、そうだったんだ? 大樹的には姉さんはそんなに美人に見えたんだ?」

「あぁ、もちろんもちろん! あんなに柔和で優しい美人なお姉さんがいるなんて弟の凪がめっちゃ羨ましいよ」

「ふ、ふぅん、そっかそっか。……ふへへ」

「ん? どうしたんだ? 急にニヤニヤとしちゃってさ?」


 何だか急に凪はニヤニヤと笑いだしてきたので、俺はキョトンとした表情を浮かべながら凪にそう尋ねていった。


「ふへへ……って、え? あ、いや、その……やっぱり身内を褒められたら嬉しいものでしょ? だ、だから自分の事のように嬉しく思ったってだけだよ!」

「あぁ、なるほど。確かに身内が褒められたら嬉しくなるに決まってるよな。まぁでもあれだけ物凄い美人さんだと、やっぱり彼氏も物凄いハイスペックな人なんだろうなー」

「えっ? あ、あぁ、いや、僕……じゃなくて、姉さんには彼氏はいないよ?」

「え? そうなの?」

「うん、そうそう。というかむしろ姉さんは今まで彼氏なんて一度も出来た事がないからね」

「え……えっ!? そ、そうなのか!? それは何だか意外過ぎるな」


 凪からそんな奈美さんの新情報を聞いて俺は大きく驚いてしまった。


 だってあんな超絶美人な女性なら世の中の男達は絶対にアタックするだろうし。というか昨日もある意味ナンパされてたわけだしさ。


 だから奈美さんに今まで彼氏がいなかったなんて意外過ぎるよな。


「奈美さんみたいな美人な女性だったら滅茶苦茶モテそうだけどなー。学生の頃とか男子生徒から沢山告白とかされてたんじゃないのか?」

「いや、実は姉さんは中学と高校はずっと女子校に通ってたんだよ。だから今まで男の子との出会いみたいなのがそもそも一切無くてさ、それで今に至るまで彼氏が出来た事は一度もないんだよ」

「へぇ、奈美さんってずっと女子校に通ってたんだ? まぁ確かに女子校だと男子との出会いってかなり少なそうだもんなー」

「うん、そうだったんだ。それに姉さんは何というか……女子にしては身長が高くて中性的な顔付きをしてたでしょ? だから女子校の中だとイケメン扱いというか、王子様扱いみたいな感じになっちゃっててね。それで姉さんも優しい性格だからさ……周りの女子達の期待に応えるために、姉さんは女子校の王子様役を全力でずっと演じ続けて来てたんだよ」

「あー、そう言われてみたら奈美さんって身長高かったもんな。それに中性的な美人だったし……なるほど。確かに女子校に奈美さんみたいな女子が居たら、周りの女子達から王子様扱いにされちゃいそうだな」

「そうそう。だからそんな感じで姉さんは王子様役に徹した学生生活を送ってたから、彼氏を作る暇なんて無かったって感じだね」

「なるほどなー。今の話を聞いて高校時代の奈美さんが何となく想像出来たよ。でもそれだと奈美さんって何だか大変そうな学生生活を送ってた感じなんだな」

「ううん、そんな事もないよ。私……じゃなくて、姉さんはそういう振舞いをするのが結構好きだったらしいから、全然苦しいとかは思ってなかったよ。でもやっぱりその……高校生の間に彼氏を作ってデートとかして青春を送りたかったなってちょっとだけ後悔もしてるらしいけどね」


 凪はちょっとだけ寂しそうな表情をしながらそう言ってきた。


「へぇ、そうなんだ。ま、でも青春は何歳からでも全然出来るから後悔なんかしなくても大丈夫だろ。ってか凪って奈美さんの事をちょっと詳しく知り過ぎじゃねぇか? もしかして結構なお姉ちゃんっ子なのか??」

「えっ!? あ、いや、それはその……」

「はは、別にいいじゃん。そんな恥ずかしがらなくても。それだけ姉弟同士で何でも話し合えてるって事だろ? 仲の良い姉弟って感じ伝わってきて凄く羨ましい限りだよ」

「あ、あぁ、うん、そうなんだ。僕達すっごく仲が良いんだ。あ、あはは……」


 という事で俺は凪と奈美さんの姉弟仲を微笑ましく思ってそう言いながら笑っていった。

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