第15話:もしかしてこのメイドさんって……
俺はそのメイドさんを見てビックリとしていってしまった。何故なら友人の凪に凄く雰囲気が似ていたからだ。
(それに“悠木”って凪の苗字だよな? って、事はもしかして!?)
俺はその予想を店員さんに尋ねていってみた。
「えっと、すいません。もしかしてなんですけど、店員さんって……」
「う、うん……」
「もしかしてなんですけど……店員さんって悠木凪君のお姉さんですか?」
「う、うん、実は……って、え?」
「あ、それか親戚の人とかですかね? 確か凪君の親戚も都内に住んでるって言ってた気が……」
「え……あっ! は、はい、そうなんです! ぼく……じゃなくて、私、凪の姉の
「あぁ、やっぱり凪君のお姉さんなんですね! はい、俺は凪君の大学の友達で、倉瀬大樹と言います」
「そ、そうなんですね。大樹君の事は弟からよく話を聞いています。弟の凪と凄く仲良くしてくれているそうですね。いつも弟と遊んだりしてくれて本当にありがとうございます」
そう言って凪のお姉さんである奈美さんは俺に向かって深々と丁寧にお辞儀をしてきてくれた。
そしてその奈美さんの対応が物凄く丁寧過ぎて……何というかメイド服も似合い過ぎていてもはや本物のメイドさんにしか見えてこなかった。
(いやそれにしても凪も凄いイケメン男子だったけど、奈美さんも中性的で物凄く綺麗な女の人だなー)
俺はそう思いながら改めて奈美さんの姿を観察していってみた。
奈美さんの身長は175センチくらいかな。凪と同じくらいの身長に見える。姉弟どちらも高身長だからもしかしたら高身長家系なのかもしれないな。
それと美しいサラサラの黒髪ロングヘアと、吸い込まれてしまいそうな程美しい切れ長の瞳が特徴的な凄く綺麗な美人さんだった。
(うーん、本当に凄く綺麗な女性だなー……まぁでもこれ以上ジロジロと見るのは失礼だしそろそろ止めておこう)
という事で俺は奈美さんをジロジロと見るのを止めていった。そして凪についての話を奈美さんに振られたので、俺はそれにしっかりと答えていった。
「いえいえ! 俺の方こそいつも凪には助けられてばっかりで、もう本当に感謝しっぱなしですよ! あ、そういえば奈美さんは何歳くらいの方なんですか? 見た目は凪と同じくらいの年齢ですよね? もしかして俺達と同じ学校に通ってる大学生だったりします?」
「あ、えっと、その……私は22歳です。だからもう大学は卒業していて、今は本業をしながら時々アルバイトをしているって感じですね」
「へぇ、そうなんですね! お仕事お疲れ様です! あ、ちなみに凪君との仲はどうなんですか? やっぱり年が近いですし姉弟で一緒に遊んだりとかするんですかね?」
「あ、あはは、そうですね。凪とは子供の頃からしょっちゅう一緒に遊んでいましたよ」
「なるほどー! 姉弟仲が良さそうで微笑ましいですね! あ、でもそういえばここって喫茶店ですよね? それじゃあもしかして……凪君もここでバイトしてるんですか?」
「え……って、えっ!?」
そんな雑談をしているとふいに凪のバイト先の事を思い出したので、奈美さんにそれとなくそんな事を尋ねてみた。
確か凪は親戚がオーナーをしてる喫茶店でバイトをしてると言っていた。という事はお姉さんである奈美さんも同じ所でバイトをしてる可能性は高そうだよな。
「い、いえ、それはその……お、弟の凪はここではバイトはしてませんよ?」
「あれ、そうなんですか?」
と思ったんだけど、でも実際には凪はこの喫茶店では働いていないらしい。どうやら凪と奈美さんは別々の喫茶店でバイトをしているようだ。
「アイツも喫茶店でバイトしてるって言ってたからてっきり同じ場所でバイトしてるのかなって思ったんですけど、でも違ったんですね」
「は、はい、そうなんですよ。ほ、ほら、お姉さんが働いている所で一緒に働くのは恥ずかしいって言われちゃいまして」
「あー、なるほど! あはは、確かにその気持ちは同じ男子としてちょっとわかりますね」
お姉ちゃんと一緒の行動をしていると恥ずかしいって気持ちはわかるなー。
だけどアイツって完全無欠のイケメン男だと思っていたんだけど、意外にも思春期男子っぽい気持ちをちゃんと持っているなんて何だかめっちゃ安心したわ。
それじゃあ今度凪にお姉ちゃんに会った事を報告してみよう。はは、アイツがどんな顔をするか楽しみだなー。
「? どうかしましたか? 何だかニヤニヤと笑ってますけど?」
「えっ? あ、いえ、何でもないです! 凪のお姉さんに会えて凄く嬉しいって思っただけです! こんなにも優しそうで美人なお姉さんがいるなんて凪君が羨ましいです!」
「え? そ、そうですか? 優しそうで美人だなんて……ふふ、そう言って貰えると嬉しいです」
奈美さんは凄く嬉しそうな表情をしながら俺に向かってそう返事を返してきてくれた。何だか思っていた以上に喜んでくれているようだ。
「ふふ……って、あ、すいません、長々とお話してしまって……それでは席の方に案内させて頂きますね」
「あ、はい、わかりました。それじゃあお願いします」
「はい、かしこまりました」
という事で俺は奈美さんに案内してもらって窓際の静かな席に座っていった。
そして俺はこの喫茶店のオススメだと言われてる紅茶を注文してノンビリと一息ついていった。
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