第13話:友達にとある話を聞かせてもらう(菜々美視点)
とある日の事。
今日はモデル友達の青木優香と一緒に買い物に出かけていた。そして次のお店に移動していってる時、優香はこんな事を私に聞いてきた。
「あ、そういえば菜々美知ってる?」
「え、知ってるって……何の話よ?」
「その様子だと菜々美は知らない感じだね。私達のモデル仲間に枢木健人ってのがいたじゃん? あのめっちゃイケメンのさ」
「……あぁ、うん、そんな男もいたわね。それがどうしたの?」
“健人”という名前が出て来てムッとしてしまいそうになったが、それでも私は負の表情を出さないようにしてそう尋ね返していった。
「いや実はあの男さー……女の子に刺されちゃったらしいよ」
「え……って、えぇっ!? さ、刺されたって……どうして!?」
「何か痴情のもつれらしいよ。あの男は今まで沢山の女の子と身体の関係を持ってたらしいんだけどさぁ……その事が関係を持ってた女の子にバレちゃったらしくて、そのまま怒りのあまり包丁で刺されちゃったんだってさ」
「え……そ、そうなのっ!?」
私は優香からそんな話を聞いて思いっきりビックリと狼狽えてしまった。もちろんビックリとしたのはアイツが刺されて心配になったからじゃない。
(アイツ……私以外の女とも遊んでたのかよ! マジでゴミカス男じゃねぇか!!)
私はアイツが他の女にも手をだしてたなんて知らなかったのでどんどんと怒りが込み上がってきた。あの男マジで許さないからな!!
「ど、どうしたの菜々美? 何だか怖い表情になってるんだけど?」
「え? あ、あぁ、いや何でもないわよ。そんな女の敵が身近な所にいたなんてビックリとしただけよ」
「あー、そういう事ね。まぁ確かにアイツは女の敵だよねぇ……」
「うんうん、本当にそうだよね! あ、ちなみになんだけどさ……あの男の怪我の具合とかはどうなの? 危険だったりする?」
「いや、友達から聞いた話だと命には別条はないってさ。でも自身のSNSが全部炎上しだしてるからこの先は色々と大変そうだけどね。この業界は炎上は致命的だからね……」
「そっかそっかー。まぁでもそれは仕方ない事よね。早く引退して田舎に帰って欲しいくらいだわ」
「あはは、菜々美は厳しいなー。まぁでも確かにあの男には昔から悪い噂があったしね。だから天罰が下ったって事かもね」
「うん、そうそう……って、え? 悪い噂って……もしかしてあの男って昔から業界内だと評判悪かったの?」
「え? うん、そうだね。昔からずっと女癖が悪くて、チョロそうな女の子を見つけたらすぐに手を出すヤバイ男だって噂はちょくちょく流れてたよ」
「ちょ、チョロそうな女を!? あ、あいつ……マジでふざけてるな……」
私はそれを聞いてどんどんと怒りのボルテージが上がっていった。そんなクソ男だったなんて人間としてマジで終わってる。あんなクソ男は刺されて正解だわ。
「ど、どうしたの菜々美? さっきから顔が物凄く怖いよ?」
「えっ? あぁ、いや、何でもないよ。だから気にしないで」
「う、うん? まぁ菜々美がそう言うなら気にしないけど……」
「うん、ありがとう、優香」
という事で私はそう言って誤魔化していった。というかあんなクソ男と身体の関係があったなんて誰にも絶対にバレたくないから全力で誤魔化すしかないわ。
(はぁ、でもどうしようかなー……)
せっかくイケメンの彼氏が出来ると思ってテンションが上がってたのに、これじゃあ全て台無しだ。
それにイケメン彼氏を手に入れるために“都合の良い家政婦”みたいなヤツとも別れたというのに……これじゃあ別れ損じゃん。
(……ま、でも別にいっか)
だって私って顔もスタイルも性格も全部最高だしね!
だから私と付き合いたいと思うハイスペック男子は他にもまだまだ沢山いるはずだ!
そしてそんな最高の女である私に相応しいハイスペック男子を見つけるためにも、これからも合コンとかクラブとかホストとか色々な出会いの場に出かけて沢山の男の子と交流を深めていこう!
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