第10話:久々に友達と集まって飲み会をする

 数日後の夜。


 大学近くにある居酒屋の座敷席にて。


「って事で彼女と別れたぜ! だから今日は全力で慰めてくれよな!! かんぱーーい!!」

「「あはは! 非モテの甲斐無しにかんぱーーい!」」


 俺は友人を誘って飲み会を開いている所だった。ちなみにメンバーは俺と凪の他には同じ大学の友達である上島春樹と村瀬駿の合計4人だ。


 こんな突発的な飲み会なのに参加してくれるなんて本当に嬉しい限りだ。


「おい何だよその最悪な乾杯の音頭は!? お前ら慰める気ゼロじゃねぇかよ! ぷはは!」

「あはは、だってこんなの酒飲んで笑い話にするしかねぇだろ! だから今日は諦めて俺らにずっと弄られとけよ! ぷはは!」

「そうだそうだ! こんなクソ面白い飲み会を開催したヤツが悪いぞ! なぁ、凪もそう思うだろ?」

「ふふ、そうだね。こんな面白い飲み会を開いた大樹が悪いよね。だから今日は諦めて僕達にずっと弄られときなよー?」

「くっそー、皆して俺の事を馬鹿にしやがってー! 良いよもう! 笑いたければずっと笑っとけー! あはは!」


 という事でお酒を飲みながら俺達は楽しくそんな軽口を叩き合っていった。


「あはは、馬鹿になんてしてねぇってー。大樹とこうやって会うのは久々だからちょっとテンション上がっちまったんだよ。だから今日は多少の悪ノリは許してくれよな?」

「そうそう。ここ最近は特に大樹は忙しそうにしてただろ? 大樹と遊ぶ時間がだいぶ減っちゃってたから俺達結構寂しかったんだぜ? だから今日は久々に大樹と飲めてめっちゃ嬉しいよ!」

「は、春樹……俊……」


 でもそれからすぐに春樹と俊は笑いながら俺に向かってそんな嬉しい事を言ってきてくれた。


 確かにここ1~2ヶ月くらいは菜々美の命令が酷くなっていて、ほぼ毎日のように菜々美の家に行って飯作ったり洗濯したり買い物したり掃除したりとかしてたもんな……。


 それで菜々美と別れた後は凪とちょくちょく会ってたくらいで、他の友達とはまだ全然会えてなかったもんな。


(だからこうやって沢山の友達と楽しくお酒を飲めるなんて本当に久々だよなぁ……)


 という事で俺はそんな事をしみじみと思いながらも、嬉しい言葉をくれた春樹と俊にしっかりと感謝の言葉を伝えていった。


「あぁ、そう言ってくれて本当にありがとな! 俺も春樹達と久々に飲み会が出来て嬉しいよ! それじゃあこれからはもっと沢山の頻度で飲み会を開催するから毎回参加してくれよな!」

「あ、それはちょっと無理かもしんねぇな。ほら、俺には彼女がいるからさ。お前と違ってw」

「あ、すまん、俺も彼女が出来たばっかりだから毎回は無理だわw あははー」

「え……って、はぁっ!? お、お前ら彼女出来たの!? いつの間に!?」

「いやぁ、実はちょっと前に駿と二人で街コンに参加してさ、そこでちょうど良く女子大の子と仲良くなってさ……それで何度かWデートしてる間に付き合い始めたんだよ」

「は、はぁっ!? おい何だよそれ羨ましすぎんだろ! 皆いつの間にか彼女持ちのリア充ばっかりになってるのかよ!?」

「はは、大丈夫だよ大樹。僕も恋人はいないから非モテ仲間はここにいるよ。だから皆リア充になってるわけじゃないから安心していいよ?」

「な、凪ぃ……俺を一人ぼっちにしないでくれてありがとなぁ……! 俺にはもう凪しか仲間がいないから……だからこれからもずっと一緒に仲良くしようなぁ……!」

「いやいや、超絶イケメン王子の凪様と一般人の大樹が仲間な訳ねぇだろw ってか凪なら今から一時間もあれば余裕で恋人なんて出来るだろ」

「そうだそうだ! 凪と大樹じゃ月とスッポンだろーw 凪もあんまり大樹を甘やかすなよなー」

「オメェらコラ! 今日は俺を慰める会だろ! お前らも凪みたいに俺の事を優しく全力で甘やかせよな! かんぱーーーい!!」

「「あはは、そりゃ無理だー! かんぱーーーい!!」」


 そう言って俺達は大きく笑い合いながら、空いたグラスに酒を注ぎ直してまた乾杯の音頭を取っていった。


「ごくごく……ぷはぁっ! 久々に大樹と飲む酒は美味いなー。いやでもさ、急に大樹から飲み会の連絡が来た時はビックリとしちまったよ。しかも飲み会の理由が彼女と別れたからってのもさらにビックリしたからな!」

「本当本当! だって大樹の元カノって小学生からの幼馴染だったんだろ? 幼馴染ってラブコメとかフィクションの世界だと付き合ったらそのまま結婚まで行くってイメージがあったのに、現実はそんな上手くいかないもんなんだなー」

「そんなの俺だってめっちゃビックリしてるわ! アイツとは七年近く付き合ってきてたのに、最後は浮気されて別れる事になるなんてさぁ……流石にビックリするしかねぇよ!」

「いやそりゃ当事者はそうなるに決まってるよな。というかそもそも七年近く付き合って事自体めっちゃ凄いよな。まぁ大樹は一途な性格してるし真面目で優しいヤツだからそんなに長続きしたんだろうな」

「確かに確かに! 大樹ってめっちゃ優しくて良いヤツだもんなー! だけどそんな長続きしてたのに最終的に彼女に浮気されて破局するってのはガチで辛いなぁ……あ、良かったらオススメのAV貸してやろうか? 幼馴染ジャンルのオススメAVあるぜ??」

「あ、それじゃあ俺はオナホ詰め合わせセットをポチってお前に送ってやろうか? 幼馴染オナホシリーズってのがあるらしいからお前のために買ってやるよ!」

「ぷはは! 何だよそれマジで要らねぇよ! せめてくれるって言うんなら違うジャンルのエロにしてくれよ!」

「「「あはは!」」」


 という事で酔いがだいぶ回ってきた俺達は全員で笑いながらそんな下らないやり取りで盛り上がっていった。


 やっぱり彼女と別れて傷心気味の時は男友達で集まってこういう頭の悪い会話で盛り上がるのが一番の薬だよな。

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