第5話:アイツ本当に馬鹿だったなぁ(菜々美視点)
大樹と別れた後。
「はぁ、アイツ本当に馬鹿過ぎだったなぁ」
私はリビングのソファに寝転びながらそんな事を呟いていった。アイツとはもちろん大樹の事だ。
大樹とは小学生の頃からずっと交流のある幼馴染だった。そんな幼馴染のよしみでしょうがなく付き合ってただけなのに。そんな事もわからないとか本当に馬鹿過ぎるよね。
まぁ確かに中学生の頃だったら私達も釣り合いが取れてるカップルだったかもしんないけど、でも今の私は若い子達から物凄い支持を受けてる人気モデルなんだよ? そんな超人気モデルである私の彼氏があんな平凡過ぎる男で良い訳がないじゃん。
しかもあんな平凡過ぎる男が彼氏だったせいで、私は他のモデル友達のように彼氏を自慢する事が出来なくて非常に恥ずかしい思いをする日々だった。アイツとのカップル写真とかも恥ずかしすぎてSNSに投稿なんて一切出来なかった。これも私にとっては不愉快なポイントだった。
まぁでもアイツは家事全般が出来るし、多少は私の役に立つという事で今までずっと我慢して付き合ってきてあげただけなのにさぁ……そんな事もわからず私と対等な関係でいようとするなんて本当に馬鹿過ぎるよね。
「ま、でもそんな馬鹿過ぎる男と別れられてせいせいしたわー」
別れた理由は私の浮気が原因なんだけど、でも別に浮気した事に関して私は罪悪感なんて一切感じていない。
むしろあんな平凡な男が私みたいな超人気モデルとタダでエッチ出来てる関係性な時点でおかしかったんだ。私と付き合いたいんならせめて月100万くらいは稼いでほしいものだ。
「ふふ、まぁでもこれであの馬鹿男と別れる事が出来たし……よし、それじゃあこれからは健人君と付き合っちゃおうかなー?」
健人君とは最近よく一緒に遊びに行ってるモデルの男の子だ。年齢は私よりも一つ年上の21歳で超絶イケメンな男子だ。いつもオシャレで話も面白くて優しいという完璧過ぎるイケメンだ。大樹とはもう雲泥の差がある。
というか今考えてみても大樹はあまりにも平凡過ぎるし、私にすぐ指図してくるし本当に頭悪すぎる馬鹿男だったな。健人君の爪の垢を煎じて飲んで欲しいくらいだわ。
―― ピコンっ♪
「うん?」
そんな事を考えてると急にスマホから通知音が鳴り出した。なので私はスマホの画面を確認していってみた。
健人:今週の土曜暇? 良かったら会わない?
するとメッセージの相手はまさかの健人君からだった。そしてメッセージの内容は土曜に会いたいというお誘いの話だった。こんなにも嬉しい事はないわね。
菜々美:すっごく暇だよー! 私も会いたい!
私は嬉しくなって足をパタパタとさせながら健人君にそんなメッセージを送っていった。
―― 健人:それなら良かった。それじゃあいつも通り軽く飯食ったらラブホに行く感じで良い?
―― 菜々美:うん、大丈夫だよー! いっぱいえっちしようねー!!
―― 健人:わかった。それじゃあ今度は朝まで抜かずに五回戦くらいしようね(笑)
―― 菜々美:流石にそれはしんどいって(笑) でもすっごく楽しみー!
という事で私は健人君とそんなメッセージのやり取りをしていった。健人君と会う時はいつもご飯を食べて、その後はホテルに入って沢山愛して貰うというのが通例だった。
実は健人君とはまだデートらしい事は一度もした事はない。私に彼氏がいる事を健人君も知ってたし、あんまり堂々とデートをするのは大樹にバレるかもしれないという事で外でイチャイチャとするデートは今までしないようにしてたんだ。
その点ラブホだったらプライバシーがずっと守られてるから大樹にバレないって事でいつもラブホに入ってイチャイチャしてたんだよね。
まぁそしたら今回はラブホに行く前に大樹にバレちゃったんだけど……ま、でも別にいっか。そのおかげでアイツと別れる事が出来たんだしむしろ良かったわ。
「ってかこれで大樹とようやく別れる事が出来たわけだし、これからは健人君と堂々と付き合える事になるじゃん! それじゃあこれからは健人君と色々な所にデートもしていくぞー!」
という事で私は思いっきりテンションを上げながら健人君にその事についてのメッセージも送っていった。
―― 菜々美:あ、そうだ! あと健人君に報告したい事があるから、土曜日にそれも言うねー!
―― 健人:俺に報告したい事? うん、わかった。楽しみにしてるよ。
―― 菜々美:うん!
私は幸せな気持ちでそんなメッセージを送っていった。
今までは私に彼氏がいたせいで健人君とはお付き合い出来なかったし、デートに行く事も出来なかった。
でも私は大樹と別れてフリーになったわけだし、これでようやく健人君とお付き合いが出来るんだ。
「いやー、健人君と付き合えるなんて、もうマジで最高だわ!」
それに今までは平凡過ぎる馬鹿男と付き合ってたせいで、モデル友達に彼氏の自慢をする事が出来なかったし、SNSにカップル写真とかも投稿出来なかった。それが本当に悔しくてたまらなかった。
だけど健人君と付き合ったらこれからは他のモデル友達と同じように彼氏とのカップル写真をSNSにバンバンと投稿して思いっきり自慢してやるぞ!
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