沈むように
お風呂から上がって、愚痴りながらも掃除を済ませるともうすっかり夜は更けてしまっていた。
だから夕ご飯もまだなのに・・・・・・。
「ねっっっむ」
お腹が空いてないわけじゃないけど、それ以上の眠気に襲われていた。
「あー・・・・・・と、一応空き部屋はあるんだけど、ほとんど物置きみたいになってて・・・・・・その、もし私の部屋でいい?」
そう言うラヴィも、随分疲れた様子だ。
まぁ今日はほんとに色んなことがあったから無理もない。
「ラヴィの部屋って・・・・・・あの?」
「そう、あの」
プリン狩りに出かける前に、剣を取りに行ったあの部屋。
一人分なら十分な広さだけれど、二人で過ごすには狭い。
というかベッド一つしかない。
まぁ・・・・・・。
「今更だよね。一緒にお風呂入った仲だし」
「それもそうだね」
ということで、同じ部屋、同じベッドで就寝することになった。
部屋の主を差し置いて、ベッドの中に滑り込む。
そのまま奥に進んで、壁側に身を寄せるようにしてラヴィのスペースを空けた。
「ラヴィって、寝相は?」
「あんまり意識したことないけど・・・・・・」
ラヴィはそんなわたしの振る舞いに、特に文句を言うこともなく隣にやってくる。
横になって、わたしと視線が合うようにしてから言葉を続けた。
「寝相はそんなに悪くないと思うよ?」
「そ。ならよかった。因みにわたしは添い寝は慣れてるから心配要らないよ」
「慣れるとかあるの?」
前のパーティではときたま誰かの布団に忍び込んだりとかはやっていたし、二人で一つの寝具を使うことに関してはある程度の経験値がある。
「因みに添い寝で一番しんどいのは暑さね。人間二人でもくっついてると意外に暑いもんだよ。あとは・・・・・・事故らなきゃ大丈夫」
「事故・・・・・・???」
「まね、いろいろあんのさ」
ここぞとばかりにラヴィに謎の先輩風を吹かせる。
わたしの言ったようにベッドの中はすでに快適な範囲をはみ出した温度になってきている。
因みに事故というのは・・・・・・その、一回ほんとにめちゃくちゃ疲れてた時があって、その時はダンと寝ていたのだけど・・・・・・。
まぁ一晩の過ちということで、その・・・・・・いわゆるおねしょと言われるような現象を引き起こしてしまったことがある。
その時はダンが庇ってくれたけど、まぁ普通にみんなにはバレバレだったよなと思う。
そう、その時ももう眠くて眠くて、ほんの瞬きのつもりだったのが気づいたら眠っていて・・・・・・。
「・・・・・・!」
「どうしたの、コーラル?」
「トイレ行ってくる。今のうちに」
わたしもわたしで成長しているのだ。
同じ過ちを繰り返してなるものか。
「行ってらっしゃい。場所分かる?」
「・・・・・・」
「あれ? コーラル? おーい・・・・・・?」
「・・・・・・」
「え、寝ちゃった・・・・・・???」
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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