第2話
ああ、現実だ。
そう思ったのは目を開けると
いつもの自分の部屋の天井が見えたからだ。
私、鈴木一香は
20歳の誕生日を迎えたあたりから何度も同じ夢を見ている。
見覚えのない洋館の一室で、知らない男の人と会う夢。
その夢を見出してから、1年ほど経った。
寝起きのだるい体を起こし、この夢を見た日は情報をノートに書くことにしている。
今までの記録を残してある。
洋館の一室に部屋にベッド、知らない男の人。
夢をみる日は決まっていない、お互い喋ることはできない、
私の周りの関係者、TVなどで見たことのある俳優の影響か、
あらゆる人を調べ尽くしたが該当する人はいなかった。
(今日もキスしてしまった..)
日が経つにつれて、
その夢での彼は大胆になってきた気がする。
最初は近づくだけ、指先に触れるだけ、
そしてキス、最近ではキスに加え優しく体に触れてくるようになった。
初めの頃はただの妄想が
結構現実味があるもんだから、
気持ち悪いなんて思って悩んでた。
だけど、いつの間にか慣れてしまったようだ。
この夢のことは誰にも告げてない。
誰も信じてもらえないと思うからだ。
私はというと
社会人になって一度彼氏はできたが、キスもせず終わってしまった。
ファーストキスは夢の中の彼だ。
だけどいつも出てくる彼は本当に現実にいるかようにいつもリアルで
本当にこれは夢なのか、わからなくなる。
私は日記帳を閉じると、ベッドから重い体を起こし立ち上がる。
「あー、仕事行かなきゃ」
私は密かに
次はいつ会えるのか楽しみにしていた。
夢の彼を「ユメ君」と勝手に呼んでいる
夢の中でしか会えないから。
私は相当イカれているかもしれない。
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