第3話 クロの本

気まずい…

シロは少し離れた場所で何かをしているクロを見ている

「えっと…クロくん?何してるの?」


「クロで良いよ!!」

クロはこっちを向いて笑う


答えになっていないっ……

シロは気まずいそうにクロから目をそらす


会話が何も進まないままかれこれ10分…

気まずい時間がただ流れていく…

「クロ?」

「ん?なあに?」

クロは完全にシロの存在を忘れていたようで

しばらくこちらを見ることはなかったがやっと

シロの方を向いてくれた。


やっと話を聞いてくれる…

シロはほっとした


「クロのことを聞いても良い?」

見た目は小学生前後だが中身は幼児レベルと分かったので出来るだけ優しい口調で聞く


「クロはクロだよ?」

クロが首をかしげる


「クロは昔のこと覚えてる?」

「昔のことって?」

クロはよくわかっていないようで少し困った顔をした。


「えっとね…ずっと昔のことかな、クロも目覚めたばかり?」

「えっとね、僕はね、えっと…」

少し考混んでいたクロは次第に頭を抱えだした

「いてて、やっぱし昔のことを考えると頭が痛くなっちゃうんだ〜」


クロも記憶喪失か、手がかり無しだな…

「でもね、僕、本持ってるよ!!」

クロが机の上に置いてあった本を持ってくる

クロが持ってきた本は日記だった。


「最高だよ!クロ!」

シロはニッコリ笑った


早速本を読み出した私の隣でクロは暇そうに床に寝転んでいた。


本を読み出してからしばらくたって

クロが暇すぎて死体ごっこ始めるころ…


「読み終わったよ〜」

クロに声をかけると嬉しそうにこっちへ飛んできた


「なんて書いてたの?」

クロはワクワクしながら聞いてくる


1つ目

私が白の守であるようにクロは黒の守である。


2つ目

守とは色をつかさどる精霊や神に近いものらしい。


3つ目

守たちは他にもいて、赤、黄色、青が上位の守にあたる存在らしい。


「以上かな」

一通り大事なことは喋ったがクロの本も最後は赤く塗りつぶされていた…子供には刺激が強すぎるので秘密にしておこう。


「なるほど…じゃあみんなはあの廊下の先にいるのかな?」

「分からないかな…」

シロはうつむく

本の最後が塗りつぶされていた時点で他の皆がいる確率がぐっと下がったよな…


「行ってみよう!」

クロが突然声をあげると布に包まれた謎の棒を持ってきた

「なにこれ…?」

布を取ると棒はクロの背丈のよりも長く私の身長に迫るほどの長さがあった。

「これはね〜えっと…」

名前考えてなかったな…

心の中でツッコミをする。


「ブラックワンド!!」

クロは自信満々に答えた

「杖?」

「杖じゃない!ブラックワンドだよ」

クロは杖じゃないというがどう見ても杖である


「これを護身用で持ってたらもしも大きくて強い怪獣が来てもだいじょーぶ!」

クロは杖を布に包んで背中に背負った。


「レッツゴー」

クロは早速出発しようとする

「ちょっと待て…私の護身はどうするつもりだ…」

クロはドアに向かっていた足を急に止めた

「あ…」


クロはてへっと可愛いそぶりを見せたが危うく私が死ぬかもしれなかったので絶対に許せない


一旦白い部屋(おそらく自室)に戻って武器がないか確認する


「これが設計図?」

クロが部屋の図面の書かれた紙を持っている

しばらくクロが紙をみていたが何かわかったように急に叫んだ


「あ!」

「何か分かったの?」

クロは部屋の本棚のあたりを指差した

ここが隠し部屋になってる!


早速本棚の方へ行き注意深く観察して見るが特に変わった所はない


「多分ね…」

クロが本棚を押すが何の反応もない

「ぐぬぬ…」

クロだけでは本棚は重すぎて動かないようだ

「手伝うよ」

私も全力で押すとなんとか開く事ができた。


するとそこには小さな隠し部屋があり

純白の剣が置かれていた。














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