第28話 うつろう心
結局
入信を勧誘するような言い回しは何もなかったが、自分と縁を
とはいえ今後は教会と関わるつもりも予定もなかったので、父が言うように『後腐れなく』
だが一翔には牧師に提示された
——家族でも友人でも職場関係でもない誰かに必要とされればいいのなら、もうそこに賭けるしかない。結婚は無謀でも、せめて誰かと付き合うとか、最低でもその候補にさえ上がれば…。
——そのためにはやっぱり、マッチングアプリを活用するしかない。少なくとも他人を必要としている者同士を
——『価値のある人間』の達成基準が
そうして感情が
その
「あの牧師先生の提案を、
一翔は
「何か文句あるのか?」
「いや、何もないよ。君自身が決めたことだからね」
一方であれほど余命宣告の回避や相談の必要性を訴えかけていたはずの『天使』は、一翔が
何か言いたげなようにも
——まぁ、これまでも色々と恥ずかしいとか
マッチングアプリを比較するWebサイトを
比較サイトには複数のアプリを並行活用した方が良いと記載されていたが、そこまで
アプリのインストールが完了すると、そのまま起動させて指示される通りにプロフィールを入力していった。
——登録する名前は…本人確認は後々するけど本名じゃなくていいんだよな。K…いや、KZならあまり
順調に設定が進んでいくかと思われたが、中には選択に戸惑う項目も見かけるようになった。
——職種は…ゴルフ場の運営管理なんて項目はないし、そもそもの仕事が相手に伝わり
——年収はボーナス込みなら400万近くあるけど…なんで項目が『300万未満』『300~500万』『500万~700万』っていう区切りなんだよ。300万と500万じゃ女性からの評価は
——趣味は…野球中継やアニメ観たりゲームしたり…あとは何か載せられるようなものあるか…?
『勉強も料理も
——
あれこれと思案しながらも一通りの項目を埋めると、最後にプロフィール写真を設定するようアプリに促された。外出から戻って
決して悪いわけではなかったが、室内照明による陰影も影響してどこか
「そんなのより、もっと印象良さそうな写真持ってないの?」
言われるが
当時は世界的に
その画像を切り取ってプロフィールとした一翔は、『天使』に礼を言う代わりに疑問を投げ掛けた。
「俺が余命宣告を回避しようとすることに、あんたは手出ししないんじゃなかったのか」
「
「…なんだよそれ、結局はあんたの
「余計なことをするなって、君が言わない限りはね」
そう答えた『天使』は、一翔には心なしか
——俺が余命宣告に向き合うようにしたから、評価や接し方が変わって来たのか…? いや、こいつの好感度を意識したところで何も意味はないんだが。
『
『LIKE』を送れる上限は
一翔は余命宣告を回避するためとはいえ、付き合うことを考えれば片っ
だがそのなかの誰よりも、
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