第24話 失われた趣味
2024年10月12日 土曜日。宣告された死まで残り23日。
世間が迎えた3連休の初日、午前10時頃、一翔は祖父母宅のリビングにて
5つ歳上の
その際小学2年生の一人娘である
昨日の妹の
葬儀を終えた後のこの3連休は、余命宣告を回避するための方針をじっくり検討するつもりであったが、
——
現に
一翔は当初同室にあるテレビで適当な番組を
そんななか、
「
「…鉛筆削り」
「
腰を上げた一翔は真っ
記憶の通りに長さ3cm程度の小さな鉛筆削りを発見して
「おじちゃんありがと」
一翔もその作品は知っていたうえ、近年のアニメは決して子供向けでなくとも、トレンドによっては小学生にも反響が出るという風潮も把握していた。
だが実際に
「そのキャラクター、俺も知ってるよ。学校でも人気あるんだ?」
「うん」
それでもなんとなく会話のきっかけが
「
「ううん、観てない。みんなが好きだから
だがその何気ない返答は、一翔の胸の内に冷たく突き刺さった。無心に没入する小学2年生の姿勢は、楽しいあまり集中が過ぎているのか、それとも周囲と同調するため宿題のように
無意識のうちに
「おじちゃんも、何か
「あら
それは
午後になって
一翔はそれまでの時間が一緒に遊んでいたわけではなくただの子守に過ぎなかったことを思い出し、
その直前に
——イラストなんて
鉛筆で数時間かけて模写したアニメキャラクターの
一翔にはデッサンを学んだ経験はなかったが、幼い頃から絵を
——
周囲の目を気にする子供の心境には、一翔も
男の子の魅力とは
スポーツ好きな両親も当時は一翔の描写スキルを認めつつ、どちらかと言えば身体を動かして育つことを望んでいた。
しかし一翔には物心ついた頃から、運動に関して確かな劣等感があった。その感情から
そして
だが今しがたの没入感と
——また何か
——そしてそれがあわよくば…『価値のある人間』になることに
「一翔、ちょっといいか?」
だがリビングから出ようとしたその足を、不意に一翔の父である
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