第19話 死に方について
祖父母が礼拝を捧げていた
その半分以上の年月に
母も
その後は葬儀社と
一翔はと言えば、来客対応を担う
牧師らの分も含めておにぎりや
午後になると葬儀の詳細が決まり、
世間一般で言う通夜や告別式といった表現とは違うために
少しずつ祖父の家系など血縁の離れた親族も訪ねてくるようになり、母も
恐らく母か
——明日が
通話を終えた一翔は、ぼんやりとカレンダーを思い浮かべながら窓の外を
——突然これだけ仕事を休んでも、大した
それでも東京で働く父と妹は明日の
階下で
——多分、
——
一翔は窓辺に
——もし俺が来月、本当に死ぬことになったとしたら……きっと同じようにはならない。
すると視界の隅でちらりと動く何かが見え、一翔は顔を上げた。
『天使』が両手を後方で組みながら、棚に飾られた昔の写真を順に
後者に関しては不本意な傾向であったが、その退屈に付き合わせるように彼女へ尋ねたい話題が生じていた。
「なぁ、1つ気になったことがあるんだが…俺がもし余命宣告の通りに死を迎えるとして、一体どういう風に死ぬことになるんだ」
「君には死に方よりも、生き方について考えて欲しいんだけどね」
「だからもしもの話だって言ってるだろ。俺は
宣告された死について
「君がタイムリミットまで
「そういうことって…何か事件や事故に巻き込まれて命を落とすようなことはないって意味か」
「さぁね。必ずしもそうとは言い切れないかな。仮に君がアパートの自室に身を隠していたとしても、
「…そんな極端で理不尽なケースがあるのか? 命を奪う対象は俺だけのはずなのに、
「昨日も言ったけど、神様に『理不尽』は通用しないからね。まぁ、そういうケースでも君が諸悪の根源だと問い詰められることはないだろうけど」
『天使』の口振りは、どこか
それでも一翔は、もしもの悪い展開について思案を止めることが
「でも仮に火災ではなく心筋
「死に方がどうであれ、君には迷惑をかける人が必ず出て来るよ。そして相応の重さの悲しみが生まれる。それらをどうすれば軽く
そう言って『天使』は、毒にも薬にもならない問答を締め
都内で生活していた頃は、
一翔もまた、他人の迷惑にならないよう死に場所を選んで欲しいものだと
宣告された死に対して、これ以上リスクヘッジと
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