第20話 あんな姿には成れない
2024年10月10日 木曜日。宣告された死まで残り25日。
「
午後6時を回り、
扇形の礼拝堂は100人程度が収容
祭壇に置かれた祖父の
そしてパイプオルガンの清らかな音色と、背後から波のように押し寄せる讃美歌は胸の奥を
祖父と共に過ごしたであろう教会員も多く参列し、
——凄いな。こんなにも
佐伯牧師が説教に際して祖父の
天井には半円状の
——俺がもし1ヶ月後に死んだら…そのときはきっと、こうはならないよな。
その先の暗闇を見つめながら、一翔は昨日と同じように
そもそも一翔自身は無宗教であるが
一翔の右隣では父である
2人は父の運転する車で
父は元より
今日も
「…キリスト教に
「慈愛に満ち、献身を尽くされた兄弟は、必ずや天の国に迎え入れられたことでしょう。我々は深い悲しみのうちにあっても、その慰めに感謝を捧げて兄弟を送り出すべきなのです」
牧師が壇上で死後の
死に対する不安や恐れを和らげるために
——俺には
——そんな
一通りの式次第が終わり、祖父の遺体が収められた
先行して遺族が祭壇に上がって白や淡い色合いの花を添えていき、続いて参列者がこれに
一翔はその応対の
身内の面々もその緩やかな変化を察したのか、祖母や母らがまた少しずつ鼻を
一翔にも再び熱いものが込み上げてくるのが
——このまま死んだとしても、俺はあんな姿には成れない。俺は
——そのために何をすべきかは
前夜式が無事に終わると、礼拝堂の隣にある集会所のような部屋で軽食や飲み物が振る舞われた。プロテスタントの葬儀には
とはいえ一翔には家族共々
日中は晴れていたが昨日と同じく夜は気温が下がっており、外に出るとオールシーズンのブラックスーツが少し肌寒く感じられた。
「ああ、いたいた。相羽君」
だがその一翔を
とはいえ近年は義兄同様
その
「代表、本日はご参列
「いやいや私の方こそ、
「ああ、別にお気になさらず…自分はクリスチャンではありませんので」
ぎこちない
「慶三さんには、俺が独立した時から本当に色んな事で世話になってな…
「あ…はい、どうも、恐縮です」
「だがその一方で、君をあの事務所に詰め込んだままというのも
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