第13話 近くて遠すぎる距離
「馬鹿かおまえ…何適当なこと言ってんだよ」
「茶化してるつもりはないよ。君はよくあの人の視線を気にしているし、接客してもらっているときは何か会話の糸口を探ろうとそわそわしているでしょう」
「やめろ、人のことをストーカーみたいに言うな」
「ストーカーみたいな印象は
「『
「そうなんだ、よく
「…だからさぁ、そういうんじゃねぇって言ってるだろ!」
一翔は『天使』に鎌を掛けられたような気がして更に動揺し、また
とはいえ常に
放映時はマスクを付けており、一翔はその時点で特段彼女に
だが実際にレジで相対した際は素顔が
もし彼女がゴルフ場で接客したなら、間違いなく男性客の人気を集めるだろうなどと考えた。
そうして『
とはいえ彼女はシフト制なのか常に夕方に店番をしているわけではなく、休日は当然ながら混雑して常に
何度か訪ねた結果、月曜の夕方には確実にシフトを組んでいるようで、かつ客足も
そういった背景を踏まえれば、
だが滞在時間が
それが自意識過剰であるとしても、定期的に通うことで彼女との間に何かが生まれるのではないかという淡い期待があった。
それでもいざ『天使』に指摘されると、一連の言動は穴があったら入りたいほどの
「別に
表情を動かさずとも
「そうじゃない。誰が好きかとか勝手に決めつけられてしつこくされることがうざいんだよ」
「でも、これって数少ないチャンスだと思うんだよね」
「…またその話かよ」
「うん。だって一番
一翔には『天使』の発言の行きつく先が、結局は余命宣告を回避するための選択肢に
「俺に
「ナンパって…君、自分から意図的に悪い表現にしようとしてるんじゃない?」
「どんな表現にしようが相手には同じことだろ。一介の客人に過ぎない俺が急に
「本当に悪質で迷惑と感じるかは、
ここぞとばかりに『天使』が問い詰めてくるため、一翔はさっさと夕飯を食べ終えてしまおうと
確かに
底から見上げる自分が独善的に彼女を引き
そもそも
「…このご時世、セクハラとか世間の見る目は敏感なんだよ。自分の命が掛かってるからって、そんな
それでも『天使』は、依然として透き通るような
「命が掛かっているからこそ、悔いの無いようにするべきなんじゃないかな」
「それを言うなら、自分の都合で他人に不快な思いをさせることが一番の後悔になる。それともあんたは『天使』らしく、キューピッドの役割でも担ってくれんのか?」
一翔は露骨な嫌味を
沈黙が答えとなり、気が済んだと判断した一翔は食器を片付けようと立ち上がった。だがキッチンへ向かうその背中に、『天使』が一言
「
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