第9話 週明け
2024年10月7日 月曜日。宣告された死まで残り28日。
スマホのアラームで7時過ぎに起床した一翔は、
10月に入っても日中は
そして中古で購入したブラック系統のコンパクトSUVに乗り込み、道路混雑を見越し2,30分程を要する通勤路へと発進した。
『天使』はこの日の朝もベランダ
一方の一翔は
こうして自家用車で移動している
昨夜のこともあり、勤務時間中は
——本当に1ヶ月後に俺が死ぬと決まっていたとしても、会社に何を釈明
——逆にあれこれ
一翔は『株式会社オサカベコーポレーション』という名称が掲げられたやや古びた3階建てのビルの裏手に回ると、従業員通用口にあるタイムカードを打刻した。
そして狭い階段を上った2階には
そこは40㎡ほどの横長の空間であり、入って
「…おはようございます」
「おはよう」
その上司である老人——取締役部長である
一翔は伊熊部長の対面に向き合うように置かれた机に回り込むようにして着席し、自分のノートパソコンの電源を入れた。
やや劣化しているのか毎度起動に時間がかかっており、スマホでSNSを適当に
すると部屋の扉が開いて、小柄なスーツ姿の老人が短く
「…おはようございます」
一翔は伊熊部長と
一翔もその反応に
一翔の勤めるゴルフ場ホールディング会社『
他の2人は課長職であるが、
そもそもこの
様々な不動産を買収
だがそれはオサカベコーポレーションの起業者であり現代表である、
そして
元より浜松市内で金属精錬業の現場に
一方で取締役部長の伊熊次朗は、オサカベコーポレーションが最初に取得した静岡県西部のゴルフ場の元支配人であり、営業から芝の管理まで熟知しており業界でも顔の広い存在であった。
現在は東海圏を中心に保有する6社のゴルフ場を統括しながら、新規のゴルフ場買収案件を精査している。
とはいえ先月に
刑部代表も
そして
主な役回りとしては、各ゴルフ場から毎日メールで届く営業報告から得られる全体的な売上や資金繰りの予測および前年実績との対比、予算や設備投資計画との照合、ほか口コミなどで報告に無いトラブルがあるか
また経理担当として出金や記帳の管理、ゴルフ場側と交わす請求書の作成管理等を担い、対外的に金融機関やリース契約、保険担当者等と連絡を交わすこともある。
だが昨夜の飲み会で
イレギュラーな仕事や出張が発生しない限り、一翔の仕事の半分程度は電話番であるといっても
そもそも一翔は社会人になるまでゴルフなど触れたことはなく、特段関心があるわけでもなかった。
そんな一翔が新卒としてこの会社に就職することになった理由は、刑部代表と旧知の仲である一翔の祖父、
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