第7話 唐揚げの摘まみ食い
「それにしてもこの揚げ
「え? ああいや、
「へぇー、じゃああまり飲み会とかやらないんだ?」
「そうだな…浜松では年末か年始にやるくらいなのかな。まぁ泊りがけの出張があるときにはやってるけど、それも1年に数えるほどだし」
「そういうもんなのか。あれ、カズトってどういう仕事してたんだっけ」
タカが
「あー、勤めてるのはゴルフ場のホールディング会社でさ、
そうして
「ああ、そういえばゴルフ場だとか言ってたっけな。色々とって…何だか忙しそうだな」
「いや、そうでもねぇよ。何もない日はマジで何もなくて、8時間潰すのが苦痛だったりすることもあるしなぁ」
「えーそうなの? でもホワイトなだけまだマシじゃね?」
一翔は苦笑を浮かべながら、案の
すると、いつの間にかタッチパネルで
「いや、俺もホワイト過ぎるのは無理だな。名古屋移って
「うわ出たよリモート否定派。てかシュンおまえ、そう言っておきながら
「退屈だから遊んでたみたいに言うなよ。ちゃんと規定時間仕事したうえで、外出
スターダスト・ストラテジー、通称スタストというプレイヤー同士の対戦に力を入れたゲームなのだが、ソシャゲを一切遊んでいない一翔はその話題に加わる余地がなかった。
腐れ縁の3人といえども、そのうちの2人にしか共通項がない話題というものは往々にして生じるものである。
一翔は気の進まない仕事の話が断ち切られて少し
——べつにこういうのは珍しいことじゃない。
2人との間に透明な壁が映ったような気がした一翔は、
だが
——こいつ、いつの間に…!?
——いや、またしても今の今まで俺が認識
『天使』はタカと隣り合っていたが、当の本人は
それよりも一翔は、彼女が
よく見れば6個ほどあったはずの唐揚げはもう1個しか残されておらず、大半を『天使』が横取りしていた。
とはいえ追及しようにも声を発するわけにもいかず、一翔は
だが『天使』は一翔に向かって
——いや、外で話しかけて来るなよって言ったのは俺の方だけどさ…まさか料理を食べ
——てか何で勝手に食べてんだよ!? 幻覚みたいなこいつが食べた唐揚げは、一体どう消化されるんだよ!?
「あれ、カズトおまえいつの間に唐揚げ食べ尽くしてんだよ?」
すると異変に気付いたタカが、半笑いを浮かべながら
「いや、別に俺が全部食べたわけじゃ……」
「何言ってんだよ、おまえ以外に食べる奴なんていねぇだろ」
タカに
唐揚げを食べ尽くしていないことは腹の具合からしても確かなのだが、何を証明することも
「悪い、もう1回同じやつ頼むからさ」
「いや、いいよ。別のやつ頼んだから俺はそれで終わりでいいわ」
奇妙な雰囲気をシュンがフォローすると同時に、店員が新たな料理を運んできた。
だがその店員も、一翔には認識
『天使』は
「おおー、これが
一方のタカも唐揚げのことは
「あ…えっと、
一翔はぽつりと答えながらも、その
だがその動揺を隠せていなかったのか、隣からシュンがにやつきながら肩を叩いてきた。
「何か知らねぇけど気にすんなよ。俺らが新幹線で往復する以上、
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