第29話 家臣と娘
「約束であったな・・・。」
ーゴトッー
「ゴホッ、ゴホッ、オエェェッ。」
ユウジはむせる。
「ようも、やってくれたものよ。」
「ああ、そのクルクル回る緑の円の仕組みは分からぬが。」
ーゴスッー
振り返り自らの槍を引き抜く。
瞬間、ユウジは
「もう良い、
「見たところ、その緑の輪っかは我の攻撃を吸収し、ヨソに飛ばしたり本人が逃げ隠れできて、他の所から物も取ってこれる。最初のうちは逃げ隠れしていたが、途中から我が攻撃の威力を中にため込んでいたな。もしやと思って槍を差し入れて放ってみたら、なんとまぁ。」
ほぼ、遊ばれてるなとユウジは冷や汗が出る。
「ワシの打ち込んだ攻撃の圧力を出口をすぼめてさらに強めて、槍ごと返しよったわ。」
ちゃんと分析されてたんだと、ユウジはなぜか悲しくなってきた。
「ワハハ、
そういうと、チリチリと大地が震え、黄色い光りが
そこには、骸骨ではなく年のころは三十代
意外と
「ああ、なんだ。
「ノリで骸骨とは・・・」
やめてくれよ・・心臓に悪い・・・と思うユウジ。
しゃべるとボロのでる
ユウジは奇妙な親しみを感じた。・・・どこかで会ったような。
「ワシはな、そなたの中で騒いでおる娘どもと根は同じ存在よ。」
娘?見えているのか?聞こえているのか?
「とーちょーしてんだ!とーちょーしてんだ!」
「おかしいですわね。
「生活音が漏れる薄い壁の家には住めないわよ。」
お姉さま方、好き勝手言われるのは結構ですがお静かに。
「配下の者どもは、肉体をもつまでの力がその身に還らぬのだ。容量というべきか。」
「容量?」
なんだその表現の仕方は・・・。
「器というかなぁ。魂の揺れを受け止めるだけの大きさというか」
「MPが低いんだねぇぇ。」
ローラ、またわけの分からい単語を持ち出すのはやめなさいとユウジは伝えた。
「まぁ良い。かわいそうだから、ワシも力を抑えて
「しとったって。」
そこが、この男のいうノリなのだろうか。
「ワシと共に死んでくれた者どもよ。そりゃぁ地獄のそこまで
誠実な親分なのだろうか。それよりも気になるのは・・・。
「力を抑えてアレかよ・・・」
フト顔をあげて
「それでな、
「何を」
なんだか、今までの流れだと嫌な予感がする‥ユウジ。
「ワシが、そなたの
「はあっ?なぜ?」
どうした?なぜそうなる。オレは狂犬は飼えぬぞ!ユウジはホントに内心
「おもしろそうだから。」
「なんじゃそれ!」
ただの戦闘狂じゃないか!まずい断らねばオレの生活の平穏が・・・ユウジはさらに焦る。
「ワシの見る所、そなたはこれから先いろいろありそうじゃ!それにな・・・」
「いろいろあって欲しくない!」
ユウジはあんまりすぎて途中で話を
ーゴンッ―
「ワシは退屈はしたくない!腕を振るわせろ!」
「戦狂いではないかっ!やっぱりっ!」
「でも、悪い話ではないわ。」
目の端で紅い人が言う。
「そうですわね。調査や今後の戦闘では大きな力になってくれるでしょうし。」
反対側で紫の人が言う。
「うーん。確かにそれは・・・」
確かに異常な場所にいるのだ。
普通のことをしていたのでは命を落としかねない。
いや実際一度あの世に逝きかけてるユウジだから。
「良いのだな・・良し!決めた!」
そちらに決定権があるのだろうか?
「我が名は、
いや、・・名乗ってしまわれたよ。それよりも気になるのは・・・。
「
「そうじゃ。
粒ぞろいって・・・それより!
「と、殿?」
「じゃ、せつぞぉく!」
ローラさん。余計なことはしなさんな。正式にご招待じゃないか!
「おっ!そなたらか?ボソボソと聞こえていた声は。」
「そうだよぉーよろしくー。」
あーあ、歓迎会がもう始まってる・・・。
「おお、見る所、みな美しいのぉ。ワシの娘に劣らぬほどの
「娘ぇ?」
脳内でユウジ、ローラ、マチルダとメルの声が同時に響いた。
「うん、おるよ。」
「・・・
ユウジは失礼な質問を恐る恐る聞いた。
「まさか御冗談を!殿。年頃の娘ですぞ。どこの
「やめなさい!部下の人たちが可哀そうでしょう!」
先ほど、派手に散っていった配下の骸骨も何やら骨と骨をくっつけて治療?して復活している。
「しかし、アレはワシより強いですわ!ハハハハハハ。」
「おい!」
頭の中、どんちゃん騒ぎのユウジの目に光るものがあった。
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