第30話 城と部外者
「
「そうです。」
胸を叩いて
話し合いをしようにも、あんまりうるさいので全員外に出てもらった。
「ねえ、お城に住んでんのぉ?」
ローラが興味があるのか
「おう、聞けばク海に落っこちたというではないか。
いや、家臣にした覚えがまったくないユウジ。
「城、悪くないわ。ゆっくり寝られるかな?」
マチルダはもう疲れたと言わんばかりだ。そうだね。疲れたわ。
「私は湯あみがしたいですわ。」
メルは膝の
「ゴチソウあるぅ?」
ローラ、あなた、ここなら食べ物は転がっているのでしょ?ユウジは呆れる。
「おおう、任せよ!・・・と言いたいのだがな。」
何であろう。魂座が突然
「ひとつ問題がある。」
「問題?」
さて、今までで一番深刻な顔をしているが・・・。
「我が娘よ。」
「娘さん?」
みんなが
「話の持って行き方によっては、
「よし、来た道を戻ろう!」
「ちょっと待ってくだされ。ようやく主を見つけたのだ、どのみち、あの
しかし、あなたより強いのでしょう?
「では、これまでのお付き合いということで。」
「ああ、そのような恥をかけば腹を切る!」
「いや、切れる腹ないでしょ!」
骸骨だった腹に刀を刺しても説得力ない!
「気持ちの問題でござる!」
「気分で腹切れるんかい!」
これを
「・・・で、娘さん強いんでしょ?」
あなたでも、生きた
「うむ!ワシの娘だから!ワハハハ。」
この
「・・・ところで、
マチルダがフト思いついたように聞いた。
「狩りじゃ。アダケモノを狩っておった。」
「狩ってどうするの?」
子どもみたいに素直な疑問が口をついて出た。
「食べる。」
「いや、アレって食えるの?」
逆にユウジ以外四人がユウジの顔をのぞき込む。
え?そっち?そっかオレが
「モノによりますな!ブリのアダケモノがワシャ好物で!」
何でもありだな。
「今日も娘の好物を探しておった。」
ちゃんと父親してるんだ。骸骨のくせにとみんな思ったが口にはしない。
「そこに、私達がいたと。」
「おう、良い
どういう意味で良いのだ。もうユウジには基準すら分からない。
「我等を食うつもりだったのか!」
「いや、さすがに主殿のような生ものは直接食べぬ。腹を下す。」
生もの?腹を下すぅ?・・・そう言われるとなんかすごく傷つく。
「我等が喰うのは落ちた
「
やはりな、ク海の者はそれが
「娘が喜ぶのですよ。いろいろな魂の揺れを喰うと。」
揺れときたか、この問題は深い意味があるのかもと考える。
「娘が父上、これ美味しいというてくれるのが、何より嬉しゅうてな。」
「しかし、その感情とはもともと生物の・・・」
「だから、殺してまでは喰いはせん。大昔の人間が落ちた木の実を拾って食っていたのと同じことですよ。」
「まぁそうね。」
マチルダがそんな感じと伝えたいみたいだ。
「しかし、アダケモノは違う。」
「狩って食べて減らせば、我らが
メル、それはどういうことだとユウジが訊こうとすると
「
ローラが事もなげに言った。
「どういうことだ?」
ユウジは知らないことが多すぎる。この連中にとっては
「まぁ、細かい話は城には入れてからにしませぬか?遅くなると娘に
魂座が槍を杖に立ち上がった。
こいつらは、基本的に訊かないと何も教えてくれないよな。
ユウジは
常識と前提、いやいや存在自体が全く異なるのだ。
ク海を境にして。
三十後半の気楽な落ち武者(父骸骨)、
個性だけが豊かすぎる
歩き続けるその背中達を見つめながらフト気づく。
この中で、一応生きてるのはオレだけだ。
ユウジはそれに気づくと怖さを感じた。
もしかして、今このの近くで生きている人間はオレだけかもしれない。
いや、そうだろう。子どもの頃なら泣き出していたかもしれない。
ユウジは自分が本当に生きているも十分怪しいが、身の上に起こったことを思い出すと不安になる。
もしや、オレはク海ではなくて、本当は死んでしまって幽霊となって
痛みがある。感覚はあるのだがな。
そうすると、逆に幽霊などは、
神すらも同じか?
待てよ・・・。
もやもやしながら、
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