第23話 骸骨と死合
「呼称名
同時に二体、上から襲ってくる。
「
上にかざした左の手のひらに魔法陣が浮かび風を呼ぶ。
「
風の中に光の弾幕が
槍が届く前に
しかし、着地するやいなや、二体とも突進する。
ちょうど二手に分かれて挟み撃ちの形だ。
ーガシャァンー
ユウジは自分の前方に魔法陣を発動させ、ギリギリで後方へ避退していたのだ。
勢いを殺すため踏ん張る足に
「
12体目だ。
「いや、先に右
メルの
4体同時に刺しにくるか!情け
「ローラ!」
右の人差し指に回転魔法陣を作り骨の刀を投げ込んだ。
「回転数上げぃいい!」ユウジは思念で指示を出す。
「がってん、しょうちいい。」
ーヴィシィィィィィィィイイイイイイイイイイイインー
そして、水切りの要領で右から左へ投げぬく。
ーヴゥホォォォォォォオッー
骨の刀をはらみ、空気をも切り裂く光輪となった魔法陣は襲い来る4体を粉々破壊して
髪の毛が斬られて少し散って舞い落ちる前にだ。
その間にメルは
「右15度、
「見えた!あれだな。」
ユウジは帰ってきた光輪を左手の人指し指で上手く操作するとそのまま
ーズギュッッンー
「
光輪より射出された骨の刀は途中現れた何重もの魔法陣で加速される。
瞬間に
反対に骨の刃の射線と重なった
そして、
「
ーザッッー
振り返りざまユウジは背後に忍び寄っていた
「敵11体を
「ああ、比べものにならな・・・」
ーバツンー
ユウジは吹っ飛んでいた。
骸骨
魔法陣を背中で
中段に構えていた骨の刀は砕け散り、柄の部分しかない。
後ろで遅れて壁が崩れる音がする。
「ユウジ、瞬間的に魔法陣を前面に展開させて衝撃を
「ユウジ様、
メルの回復の水が肌から引いていくのが見えた。
「こりゃ、本当にヤベェ。」
「
自分のつばを飲み込む音が聞こえた。
「刀も無くなっちゃった。」
「もとからあの刀では
大江殿には失くしたことを謝らないとなと心の
「生きて帰られるおつもりなのですね。」
その考えが感覚として伝わったのかメルが笑っているようだ。
「ああ、正直どうしていいか分からぬが、俺はついてると思っているよ。」
「ついてる!ついてるうう。」
ローラには緊張というものがないのかな?
「正直、
「状況としてはとても苦しいですが。」
メルの声は甘く沈む。
「ああ、でもヤツに関わればまた何かこのク海について分かるかもしれん。やはりついておるよ。」
「ご自分の命が危ういのにですか?」
「元から、自分の国を脅かす程のものに関わったのだ。俺の命で釣り合いがとれるなど思ってはいないさ。しかし踏み出さないと我々の安全圏は小さくなるだけだ。」
「一緒に行ってアゲルヨ!」
ああ、頭の中でも何やらチカチカする。しかし、
「そなたは優しいのぉ。俺の根拠のない自信はそなたがいてくれたからかの。」
間髪入れずに
「私はのけ者ですか?」
めずらしくメルの口調にトゲを感じた。
「ああいや、すまぬ。・・・
「そこの者ら」
え、話せるの?そもそもどうやって発声して・・・。ユウジは不意を突かれた。
「なにやら、ひとりしか姿が見えぬが話をしていたようだったからな。」
言葉は発していないのだが、でも
「話せるのか?」
「ハハハ、この
やはり骨だけだからか、少しかすれ声だ。
「命を取られかけた。謝って済む問題ではない。」
手に汗がにじむが思い切って言い返してやったユウジだった。
「ワシと戦いたかったか?」
「いや、百倍マシだった。」
それは
「おう、素直だな。まずはワシが名乗ろう。ワシは
鹿の
「俺の名は
「ほおう、そうかえ。」
ーゴスッー
「なぁ、ワシと死合ぬか?
あれ?やはりそうなる?でもさっきよりそのドクロの眼の光が赤黒くなっている気がした。
「遠慮したいところだが、こっちも事情があってな。」
なんか違う所で恨みでも買ったのか?
虎の尾を踏み続けている気がするユウジ。
「ク海のことを知りたいのだろう?坊主。」
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