第2話 青年と宝引
「初めての者もおるじゃろうからご説明いたす。」
「ええまず先に、本日は
その場にいたもの全員が
先ほどとは
「この地における宝引はク海より持ち帰った、
「まずひとつ、
住職は目を閉じたまましばらく
「宝に人が触れ、錆が落ちるのは宝の
宝が人を選ぶ?ユウジは
「ふたつ。もし錆が落ちても、ただそれだけのこと。物として
皆、住職を見つめていた。
「みっつ、その先の
まず・・・名を教えるだと? ユウジは引っかかる。住職とふと目が合った気がした。
「それ以上のことは錆びを落とせた後・・・ということになっておる。そして宝を引くに当たって必ず守ってもらわなければならないことがひとつ。もし、宝に何を見たとしても、絶対にそれを口にしてはなりませぬ。守れぬようなら少し痛い目をみてもらわねばならぬことを
若様の後ろの
「それさえ守っていただければ
住職は続ける。
「最後に、この宝とはまことに不思議な力を授けてくれる。その
年齢制限としては、成人に達していることが条件らしい。
所有者が亡くなってしまうと宝はたちまち錆びるのでまた宝引に出されることを含め、宝引が
そのため、なるほど色々な顔ぶれが並んでいる。四、五百人はいるだろうか。
順番は身分の低い者からのようだ。
宝引は早くて半年に一度、大体は年に一度程、宝がある程度集めることができた時に行われる。
今回の宝は全部で七つあるようだ。
ク海の
「そもそも、どうやってク海から宝なんてもってきたのだ?」
ユウジは列に並びながら疑問を口にした。
「そう思うでしょう?」と声が返ってきた。
「あれ?」
先ほど川で若様についていた侍がユウジの後ろにいつの間にか立っていた。
たしかロクロウという名のはず。
「あなたも参加されるのですか?」
青年は「五〇七」と書かれた
ユウジのは「四〇三」だ。
「若から許可は出ています。むしろ引いて来いと。お祭りではないのですがね。」
ケラケラ笑っている。気さくな人のようだ。
「先ほどの疑問ですが、深くは知らなくて良いことのようです。問題は錆びが落とせるか落とせないか。要するに使えるか使えないかですよ。」
錆び落としの段階では指で宝に触れるだけなので、宝自体の説明はなくただ並べられている。
それなので人数がいても
ちょっとだけ触れて錆が落ちるようならば、係がその番号を
これを全ての
「
「ええ、初めてです。」
ユウジは十六歳になり、一月ほど前にに元服し、
「私は何度も参加していますが、その度ににワクワクします。」
「改めまして、片城と申します。失礼ですが、大江殿はおいくつなのですか?」
名前は知っているが、ユウジはこの青年に
「ああ、今年で二十二です。田舎から出てきまして、若より一つ年上なのでちょうど良いということで若の
年が近いだけではない。まるで
「若が片城殿は
「母がありがたいことに若様の
「そうだったのですか。」
「はい、ただの
列はある程度、身分の順になっていれば良いらしく武士は最後の方だ。
「若が先ほど
「はい。堂々とされてました。」
ユウジは先ほどの
「実は
「えっ、若様でもダメなのですか?」
だから大人しかったのか、ひとつくらい錆が落ちても良いものをと・・・ユウジは思った。
「そんなものなのですよ。だから気を楽に楽しみましょう。」
ああこの人は悪い人ではないのであろうな、そんな気がした。
「さぁ進みますよ」
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