カゾクノカタチ
「ねえ、惣吾」
「ん」
ベッドで横になりながら、惣吾の腕の中で呟く。
枕元の電気スタンドが少しまぶしい。
「僕らって家族なのかな」
「少なくとも俺はそう思ってるけど」
軽く僕を撫でながら惣吾は言った。
「法的に認められてないのに?」
「逆。法的に認められてないだけだよ」
全身から惣吾の体温を感じる。
「要。なんかあったか?」
「夕子の職場に行ったとき、僕の作品読んだっていう男の子に、家族の形って何だと思うか聞かれて」
「うん」
「そう聞かれたときにふと、なんだろうって思って。僕らは二十年近く一緒にいるけど血は繋がってないし結婚もしてない。家族って言えるのかな」
「それ、この前の短編で書いてたんじゃないの」
はっとして惣吾の方を向く。
そんな僕の様子を見た惣吾が小さく微笑んだ。
「打算でも、法的に認められてなくても、そいつらが家族だって思ってたら家族なんだよ。俺たちもそう。ずっと一緒にいるってだけだけど、それでも一緒にいるってことは揺るがない。逆に俺の親みたいに血は繋がってるだけの他人もいる。そんなもんなんだよ」
惣吾が僕を抱きしめる力を少しだけ強くする。
「だから俺らは家族で良い。他の誰がそれを否定しようと、俺はそう思ってるし、要にもそう思っててほしい」
惣吾と目が合う。
「なあ、要。好きだよ」
「僕も、惣吾が好き」
僕がそういうと、惣吾は少し笑った。
そのとき、僕の脳裏に初めて惣吾に告白されたときのことがよぎった。
思えばあの頃から随分と遠いところまで来たものだ。
「ねえ、惣吾。これからもずっと一緒にいようね」
「当たり前だ」
そう言って、二人で笑った。
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