第24話ゾンビ退治
フィリピン、インドネシア、パラオ、パプアニューギニア、オーストラリア。
そして数々の諸島。
そんな国々の音信不通の原因がようやく分かったよ。
危険な任務なのでドローンを飛ばして、上空からの映像は悲惨なものだった。
ゾンビがダンジョンの周りを、ただ歩いてる。
燃えた建物もあったが、大方の建物も無事だ。
ただインフラの電気、ガス、水は、止まったままだ。
その動画を調べた科学者の推論は・・・
大陸のダンジョンから這い出したゾンビが、誤って海に落ちた。
そのまま漂流して島国にたどり着いた。
そして人を喰らって知恵をつける。
喰われた人間は、ゾンビになって人を襲った。
最初の知恵のついたゾンビは、仲間を増やすために海に入って泳いだ。
島国にたどり着く・・・そんな繰り返しをしたと推測結果だよ。
その原因のゾンビが・・・またも泳いで台湾に向かっているらしい。
ドローンが泳ぐゾンビを撮っていた。
その結果、Aランク覚醒者が呼び集められて台湾へ行った。
そんな情報を聞いたのに・・・なんで・・・
「君らには、あれに乗ってもらう」
「あれがプロペラ機か・・・あれ!海に浮かんでるぞ」」
「正式な名は、US-2改なんだ・・・海面を着陸したり離陸も出来る優れものだよ。海外用に新たに設計して作り上げるのに苦労したよ。海があれば何処にでも着陸出来るからね。飛行場もモンスターに荒らされて着陸できない可能性もあるからね・・・」
「それって初飛行・・・それに、あなたは誰ですか・・・」
「ああ、すまない。この水上飛行機を作った宮島だ。初飛行だが心配無用だよ・・・何度も飛ばして着陸したから・・・それに特殊任務を頼むよ」
俺らに1枚の命令書が・・・
皆は納得してないが・・・最後には国のために、と書かれていた。
接岸された水上飛行機に乗ったよ。
え!あんた乗らないの・・・「見送りに来ただけなんだ」
乗ったのを確認して、手を振っている。
右の窓の席だからプロペラが回るのが見える。
海を走りながら、ふわりと浮いた。
この水上飛行機は荷物用だ。
だから真ん中には、5人乗りのゴムボートがあった。
後ろには、5馬力船外機が・・・
「あれって沖縄だぞ」
「何度も行ったわ」
何だよ・・・自慢かよ。
「目標のゾンビを発見、今も泳いでいる。なので海へ着地するぞ」
何度もバウンドして、ようやく止まったぞ。
専属の乗組員がスイッチを押したら後ろが開いた。
「さあボートに乗った」
え!乗るの・・・簡単な扱いを聞いて4人が乗って、押出されたよ。
おっさんは、戸惑いながらボタンを押したら簡単に動いた。
そんな俺らを残して水上飛行機は、飛んでいったよ。
あ!違った・・・引き返して旋回してるぞ。
あ、俺のスマホが鳴ったぞ。
スマホ画面に矢印が・・・その方向へ行けって意味らしい。
なんと2キロ先にゾンビが泳いでいるって・・・
なのでおっさんに見せる。
「分かった」
矢印の方向に向かったよ。
「あ!ゾンビだ」
「俺は無理だぞ・・・火の魔法だから海では意味がない」
「じゃー私がやるわ・・・氷結!!」
あ!ゾンビがカチンカチンに凍っている。
しかしピキピキと亀裂が・・・ゾンビが氷を破壊。
本体は凍ってない。
チラッとこっちを見て、またも泳ぎだしたぞ。
俺らを完全に無視している。
「俺がやる!だからシッカリと撮ってくれよ」
ゾンビの討伐証拠にビデオカメラで撮るように頼まれていた。
彼女の攻撃は、撮るのを忘れていた。
海面に揺れるゾンビの影に念じた。
ゾンビは海から棘の攻撃で浮き上がった。
その攻撃で右腕が取れそうに・・・しかし、再生して腕が元の腕に・・・
なんて、しぶとい奴だ。
しかし棘の攻撃は激しさを増した。
「ギーーー」と断末魔の叫びを発して粉々になった。
「シッカリと撮れたぞ」
水上飛行機も海面に浮かんで待っていた。
ボートで近づき後ろから入るのに苦労したよ。
「このロープにシッカリと結んでくれ・・・」
「左はすんだぞ!」
「右もOKよ」
「なら引張るぞ!ボートから落ちないように掴まれ」
ロープが引張られて、乗ったままボートが動きだす。
なんと右のロープがスルスルと外れて、ボートが傾き1人が海に投げだされる。
海に落ちたおっさんは、カンカンだ。
「おい!貴様の仕業か!」
「ちょっと緩かっただけよ。私、悪くないわ」
それでも泳いで水上飛行機へ・・・
後部が閉まっても、言い合いは止まらない。
「もう、いいかな・・・これからオーストラリアへ行くぞ」
機長からのアナウンスだ。
「これから君達は、オーストラリアのゾンビ退治をしてもらう・・・俺が言ってるんじゃないぜ。政府からの伝言だ。ドローン偵察でオーストラリアの人々は、ゾンビ化して人間の存在はない。1時間前に政府はオーストラリアを日本の領土にする事を可決したらしい。オーストラリアからゾンビを全滅するのが次の使命だ・・・頑張ってくれ」
感情ないように言ってるよ。
ドローン偵察は、今も続いたらしい。
高性能カメラでサーモグラファーを使って、人を探し続けた。
建物に入っても、温度で丸分かりだ。
ゾンビは、心臓が動いてない。
だから温度も周りの温度と同じだ。
「ゾンビ退治が終わるまで日本へ帰れないの・・・」
「多くの冒険者も来るらしい・・・」
「冒険者に勝てるの・・・」
「人間がゾンビになったから勝てるって・・・」
「それなら・・・いいかも・・・」
「しかし、数が多いから注意が必要だな」
「ゾンビに囲まれたら終わりだ」
「よしてよ!想像したでけで鳥肌になりそうよ」
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