第25話オーストラリア



オーストラリアに上陸。


ゾンビ狙撃銃としてM24・SWSを手渡された。

有効射程 800メートルもあるが・・・こっちは素人だ。

それなのに何を考えるんだか分からん。


MPの消費を抑えるのが目的だって・・・


あのおっさんが持っているのは、89式5.56ミリ小銃だよ。


撃ち方の簡単な説明も機長から聞いた。


「じゃー頑張ってくれ・・・新しい仲間も連れてくるから・・・」


水上飛行機は、飛んで行ったよ。




歩くこと1時間。


「あのビルが拠点に指定されたビルだ」


「それって間違いない」


「1回間違えたから確認してね」


何度もタブレットを見て「ああ、これに間違いない」



今までは、ゾンビの姿は見えない。

警戒しながらビルに近づく。


10階建てのビルを1階から調べる。


「こっちはOKよ」


「こっちも大丈夫だ」


「ここも大丈夫よ」


「今度は、2階を調べるぞ」


「その前に・・・センサー設置が先です」


「分かったよ・・・マニュアルを守ればいいだな・・・」


主要な出入り口から外に向かって、センサーを設置してスイッチを押した。

これでゾンビの動きを察知して知らせる装置だ。


俺と雨宮志穂あまみやしほの2人は残った。


窓から侵入されないようにバリケードをするためだ。


俺は、影から魔石ポータブル電源とスタンドライトと荷物を出す。


「雨宮さんは、スタンドライトと荷物をお願いしますね・・・バリケードをちゃちゃと済ませるので・・・」


そして鉄板を出して、棘を使って窓に・・・下穴を新たに出した棘でバンバン開けた。

専用打込機を出して、魔石ポータブル電源にプラグを差込んだ。


靴から翼が出てパタパタと飛んで、アンカーを専用打込機で「ガン、ガン」打ち込んだ。


全ての窓が終了して、ドアに取り掛かる。


ガラスドアを破壊して、鉄製の扉をアンカーで「ガン、ガン」打ち込んだ。



「上にはゾンビは居なかったぜ・・・しかし、脳を喰われた遺体が・・・ああ、服まで臭ってるぞ」


「あんたが窓から投げ捨てたからよ」


「ここは俺ら住む拠点なんだ・・・臭い者は捨てるしかない。それとも、あの臭いに耐えられるのか!」


「それは・・・」


「なら文句言うな」


向こうでは色々あったらしいぞ。

惨い遺体でも見たのだろう。



その時だ。


外に設置したセンサーから激しい警報音が鳴り響く。


俺は、M24・SWSを持って階段を駆け上がる。


6階から上が惨い現場だと聞いたから、5階の窓を開けて外を見る。

ああ、ゾンビだらけだ。


窓を全開にして、机や椅子を引き寄せて座った。

銃に弾を込める。


入った数は5発だ。

そして銃を机に置いて構える。

スコープを覗き込む・・・一番手前のゾンビの頭を狙って撃った。


「ズキューン」と鳴り響く。


「うわ!・・・」


ビックリした・・・銃を撃つってこんな感じなのか・・・


ああ、あっちこっちからも銃声が・・・


スコープを覗き込む、なんと男の肩に当たっていた。

それなのに平気で、このビルに向かって歩いてる。


やっぱり脳に弾をぶち込むしかゾンビは倒せない。


もう1度狙って撃つ。


「あ、あたった」


その瞬間にゾンビは、糸が切れた人形のように倒れる。


え!高揚感が・・・


これってゴブリンを相手にしてメイスで戦う、あの高揚感とまったく同じだ。

魔法って、どこか俺以外が戦っている感じで、高揚感ってなかった。


更に撃って撃って倒す。


「めちゃ当たるぞ」


「カチャ」とボルトアクションして空薬莢からやっきょうを排出。


あれ!給弾がない。

なんだ弾を撃ち尽くしているぞ。


弾を込めて、狙いを定めて撃つ・・・


元は人間だったが、なんの罪悪感もない。

だって死んでゾンビになってるから人間じゃない。


それに目が死んでる。




俺の対人狙撃銃は、命中率はいい。


他の奴らは、「ダダダダダダダ・・・」と弾を無駄に撃ってる。


「死にやがれゾンビども!」


いや、もう死んでるよ。




「ゾンビを全て始末したぞ・・・分かってると思うが外へ出て魔石があるか確認するぞ。生き残っていたらぶち殺せ!」


もう、おっさんはノリノリだぞ。



「なんだ・・・こんなチッポケな魔石は・・・」


「それって最初から予想されてる結果よ・・・今更、言ってもね・・・」


「それは分かっている・・・しかしだな・・・」



あ、向こうでは銃声が・・・まだ生きてたのか・・・


撃ったのは、おとなしい正志まさしだ。

あああ、銃をめちゃくちゃに撃ってるぞ。

正志は、火の魔法使いだ。


ゾンビ退治に適してるハズなのに・・・


回収された魔石は、13454個。

1センチ未満の魔石で、クズ魔石と皆で言い合ったよ。


「これって買取対象にならないかも・・・」


「しかし・・・政府の指示待ちだな・・・」


「人間を切るのって・・・・・・」


「ソロソロ上空にドローンが来る頃だぞ」


「心配しなくても大丈夫よ。ビデオカメラで撮って送信したわ・・・これで魔石回収を続けるか判断を待つしかない」


「あ!次の指示が来たぞ」


なんと20キロ先の警察署へ行って、ダンジョンの所在地を調べることだった。


ゾンビも死んだ人間には、興味がない。

生きている人間が居ない地域では、ダンジョン周辺に・・・ただ立っている。


そんなドローンの偵察結果で分かったらしい。

だから正確なダンジョン位置が必要だった。


森の中では、ダンジョンが分からないからだ。


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