第3話罠



1月5日。


残り1日だよ、明日から学校だ。


ああ、学校なんか行きたくねー。

今のダンジョンが1番楽しいのに、なんで行かなきゃならないんだよ。


そうだ!来週の土日って3日後だから頑張るぜ!





『吾妻ダンジョン』では、最後の冬休みの仕事始めみたいな雰囲気が漂っている。


あれって、3年生かも・・・


「昨日、ハワイから帰ったばっかりなんだ」


「アメリカの近くに行って大丈夫なのか・・・」


「周りは海だから大丈夫だよ。それにハワイは、日本の領土になったの知らないのか?」


「え!そうなの・・・」


「忠雄!ニュースを見ろ・・・それぐらいの常識を持たないとバカにされるぞ」


「俺は、いいんだ・・・ここで稼いでるから、オヤジにも感謝されてんだぜ。なんたって覚醒者だかね」


「ああ、会社が倒産したヤツか・・・大変だな」


「仕方ないよ・・・石油タンカーが日本に来なくなって久しいのに、今まで倒産しなかったのが不思議なくらいだ」


「それにしてもプロペラの飛行機で、ハワイに行くとは思ってもなかたぜ」


ああ、ハワイに行ったのか・・・

試作のプロペラ機がハワイで見たものは・・・悲惨だった。


もう1ヶ月も遅れていたら暴動で死者もでたかも・・・

食料も食い果たして、海の魚しかなかったらしい。


アメリカからの情報は、全くない。

仕方なく日本へ援助を求めた。


日本もプロペラを回す原動力の魔石が順調だった。

テスト飛行を続けて世界の情報や資源を入手したかった。


そんな思惑で政府も動いた。

それがハワイの国土化で、すんなりとハワイ側も承諾。

ここにハワイ県が誕生した。





ああ、やっぱ1階層でゴブリンの姿を見ることはなかったよ。

楽しみにしていたのに・・・


1階のゴブリンを残す選択肢もないのか!あ、ダメダメだ。

戦いを邪魔されたようで怒りぽくなってるぞ。


ここは冷静にならないと・・・




2階層のゴブリンにブラックショットを放つ。


頭を狙ったのに目に命中して死にやがった。

そうか・・・目が弱点だ。

目の奥には脳があって、ブラックショットでも簡単に殺せるぞ。


なので・・・良く狙って放つ。


「命中したぞ!!」


ようやく魔石2つをゲットした。



しかし昨日と全然違う・・・ゴブリンの遭遇率が低すぎる。



あああ、階段まで来てしまった。

全ての通路を探しまくったのに魔石10個だ。


昨日は、2階層で33個だぞ。

2階層を探しまくった努力に対し10個なんて・・・


初めての経験だが地下3階へ行ってやる。




出たぞ!

ゴブリン4体・・・

1体がこっちに振向いた。

その瞬間に目にブラックショットを放つ。

せめて1体は殺しておきたい。


4体同時攻撃は、さすがに怖すぎる。


あれ!右に移動しやがった。

くそったれ!なんでもいいから当たれと願った。


あれあれ!右に黒い球が曲がって目に当たったぞ。

ブラックショットには、こんな機能があったのか・・・まったく知らなかった。


残りのゴブリンが怒りながら向かって来る。


ブラックショットを放つ。

またも目に命中だ。


残り2体。


更にブラックショットを放つ。

目に命中して倒した。


残りゴブリンが棍棒を大きく振り被る。

メイスでぶっ叩く。

首に命中したぞ。


しかし死んでない・・・「これでも食らえ!」

痛がるゴブリンを思いっきり下からメイスで振り上げる。


あ!頭がもげて・・・飛んでいったぞ。


10メートルの天井にぶつかった。


「ガガガガガ」と音が響く。


え!ドアが開いたぞ。

これって隠しドアなのか・・・


こんな現象ってネットにも流れてないぞ。


天井に当たって起動したらしい。


中は部屋ぽいぞ。

そして1番目についたのが宝箱が中央にあった。


これって5階層から出現するヤツだぞ。

宝箱に罠があるって情報も聞いてない。


だから開けたくて堪らない。

慎重に部屋に入って「ガバッ」と宝箱を開けた。


なんとメリケンサックに似てる物が入ってた。

取って右手にはめた。


これって凶悪な武器だぞ。

なぜなら・・・20センチも伸びた爪が3本も生えていた。


「シュッ、シュッ」と殴ってみる。


これって軽くて良いぞ。



え!地面に青白い魔方陣が光っている。

これって罠!




そこは大きな体育館ぐらい広さだった。


『1時間内にオーク10体を殺しなさい』


そんな声が突然聞こえた。


あ!あっちにも向こうにもオークが出現したぞ。


180センチでデブで・・・あそこには、いちもつをぶら下げている。

え!俺を見てお立てやがった。

捕まったら何されるか分からないぞ。


突然60分のタイム表示が現れた。


ああああ!オークが襲ってきた。


一番近いオークの目にブラックショットを放つ。


目に当たった瞬間に前のめりに倒れる。

オークも目が弱点だった。


分厚い腹は刀でも斬れないって有名だ。


だから魔法で仕留めるのが常套手段じょうとうしゅだんだ。



ブラックショットを放つ。

目に当たった瞬間に膝から崩れ落ちた。


「これはイケるぞ!」


ブラックショットを放つ。


え!なんで・・・


腕で目をかばいやがったぞ。

そんな知恵があるのか・・・


俺は必死に逃げた。



そして振返っては、ブラックショットを放つ。


「ダメだ!」


今度もブラックショットを放つ。


1番後ろから追い駆けるオークを狙った。

油断してたから目に当たって仕留めた。



残り7体。


どれだけ走らせるんだ。

最初は余裕だったのに、体力の限界だ。


あああ、俺のすぐ後ろだ。

振返って爪のメリケンサックで殴る。


噛みつくオークの口に吸い込まれる。

手が血だらけの感触が・・・パッとオークが消えた。

呆気なくオークが死んだ。


タイム表示が0になった。


残り6体は、消え失せた。


「助かったのか・・・」


『1時間休憩です。1時間後に再開されます』


え!それって永遠に続くってことなの・・・そんなバカな。

休憩で優しさをみせながら、死ぬかクリアするかの2択だとは・・・


そこでやっと気づいた。

レベルアップをしていることを・・・


綾野安信あやのやすのぶ


Lv3


HP30

MP60


黒魔法『第2位階魔法』


第2位階魔法の影拘束を習得していた。

これって初めてだぞ。

スマホで黒魔法についてダンロードした記事やデーターを読み返して確認。

そこには、第2位階魔法になった黒魔法使いはいない。


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