第2話黒魔法



左手の手の平から黒魔法のブラックショットを放つ。


ブラックショットは、第1位階魔法の黒魔法だ。


第1位階魔法:見習い魔法使い

第2位階魔法:魔法使い

第3位階魔法:プロ級

第4位階魔法:レジェンド



ブラックショットの黒い球がゴブリンの眉間に命中。

「グギャ」と、その場でうずくまるゴブリン。


更に2つ目も放つ。

走って向かって来るゴブリンの肩に命中して、後ろへ仰け反る。


俺は走りだして仰け反るゴブリンをメイスでぶっ叩く。

崩れるように倒れる。


そのまま走り続けて、うずくまるゴブリンを下からメイスをぶっ飛ばす。

一瞬、浮いて背中から倒れ落ちる。

更に何度も叩き息の根をとめる。


最初のゴブリンの所へ走り、起き上がったのでメイスでぶっ叩く。


「まだ死なないの!」


何度も叩く・・・肩で息をしてたよ。


しばらくするとゴブリンが消えて魔石2つが残った。

ダンジョンが死体を吸収したらしい。



ここは地下2階層。


残った2つの魔石で4千円だ。

1つ2千円になる。

税金を引かれた金額だから税理士事務所へ行く必要もない。

魔石は、ダンジョン管理局が厳しく管理していて、地上に出たら買取依頼するしかない。


ちなみに1階層の魔石1つは千円だ。



魔法の中で黒魔法は、クズ魔法と言われている。


威力が弱い魔法だった。

ゴブリン相手に5発のブラックショットを当てる必要があった。

普通の魔法なら1発で倒せるレベルだ。


しかし、MPの消費が少ないのがメリットだ。

10発放って、MP1を消費。


だから俺は気に入っている。

ソロでも簡単に倒せるようになった。

簡単に言えばコツを掴んだ。


ブラックショットを放って痛がらせる。

これで1、2分稼げる。


ブラックショットを放つ。

メイスで死ぬまで殴る。


残ったゴブリンを死ぬまで殴り続ける。

ブラックショットは2発しか放ってない。


こんな感じで戦えばいい。




黒魔法使いは、階層が深くなるとパーティーから外される運命だ。

そして誰も誘わない。


俺みたいに割り切ればいい。

調べて見たら12人の黒魔法いがいたらしい。

この12人の黒魔法魔法使いは、少ない人数だ。

光魔法使いでも1603人もいて、光で怪我を治す。


多くの黒魔法使いは、引退するか・・・密かに死んでいるかの2択だ。


悲しいかな・・・12人の死をネットで確認した。

正確には、ダンジョンで行方不明になって死亡と認定された。

引退者はいない。


ダンジョンで行方不明になって10日後には、死亡扱いに法改正された。

ダンジョン生命保険会社が国に働きかけた。


ダンジョン生命保険会社も国の要請で設立した会社だ。

早い話が借りがある。


法改正には、理由があった。

行方不明者が死亡したものとみなされるのは、普通失踪の場合、行方不明になってから7年間以上経過する必要があった。

この7年間は、最後に生存が確認された日から起算さる。


なので家族が保険を払い続ける。

特約の契約で払った期間で保険金が跳ね上がる仕組みだった。


ダンジョン生命保険会社は、堪ったもんじゃない。

大損だ。




あ!スマホのアラームが鳴った。


俺は、地上へ帰ることにした。




ロッカールームにあるボックスに、バッグから魔石を取って入れてゆく。


1000円×51=5万1000円

2000円×33=6万6000円


合計11万7000円


ボックスのフタをしたら引っ込んだ。

新しいボックスが出てきたぞ。


ロッカールームを出て、常備されてるテレビ電話で電話した。

電話が繋がたのは、ダンジョン管理局の電話管理課だった。


「『吾妻ダンジョン』へ入った綾野です。覚醒したので報告をしたいと・・・はい・・・黒魔法です・・・はい・・・」


切れてたよ。

受付嬢は、黒魔法と聞いたら素っ気なくなってた。

俺をバカにした顔だったよ。


嫌々・・・嫌な事は忘れよう。

反対に良い事を思い浮かべる。



ああ、ソロはいいぞ。

こんなに稼げるなんて・・・

倒して手に入れた魔石は、全て俺の物だ。


パーティーなら、魔石に対して人数で割るから・・・



この魔石は、日本にとって必要な物となっている。


魔石は、電気に代わるものとして使われるようになった。


そんなダンジョンを上手く扱っている国は、日本とイギリスしかない。



世界は、突然現れた未知なるダンジョンを恐れた。

ダンジョンの中には、架空のモンスターが住み着いて、人間を見たら襲いだす。

そんなダンジョンの存在を許せなかった。



ロシア、アメリカ、中国、アフリカ、ヨーロッパは、ダンジョンブレイクで壊滅的被害で経済は破綻。

社会主義も資本主義もモンスターの前では敵でなかった。



最初に犠牲になったのは、アメリカだ。

キリスト教は、モンスターの存在を神の反逆と認識。

アメリカ政府にダンジョン破壊を何度も申し出た。


キリスト教の支持を受けて、アメリカ大統領が軍にダンジョン破壊作戦を命令。

ダンジョンを消し去る目的で、爆弾を全てのダンジョンに仕掛けて一斉に爆破。

それがダンジョンブレイクの原因だった。



埋まった土から這い出すモンスター。

ダンジョンから出るモンスターは、強力なモンスターだった。


キマイラ:噛まれたり傷つけば、毒に犯されてゾンビに・・・ゾンビに噛まれてもゾンビにならない。ただ毒で死ぬだけだ

ケルベロス:口から炎を吹き出す

コカトリス:口から吐いた風で石化してしまう

メドゥーサ:見た者は、石になる

ワーウルフ:人間の数倍も強く素早い

ミノタウロス:力強い


様々なモンスターによって軍は、壊滅。


核ミサイルを発射して挽回を企んだ。

ドラゴンの怒りかって、ミサイルを一瞬でドラゴンが消し去った。

あらゆる核ミサイル基地や潜水艦もドラゴンが現れて消し去った。

その移動も一瞬の移動であった。


そんな情報が各国に伝わることもなかった。

モンスターが原因なのか分からないが、電波も海底ケーブルも遮断されていた。



それなのに破壊作戦が各国で起きた。

アメリカと同じ悲惨な運命を・・・


そして世界恐慌が起きた。

情報網の遮断で、世界で何が起きてるのか分からない。



遮断される前の情報で、イギリスは破壊作戦を断念。

色々な事情があったが今では分からない。

海に囲まれた島国の日本とイギリスは、モンスターの災害から逃れることが出来たようだ。

しかし、油断はできない。


ドラゴンが飛んで来る可能性があるからだ。

なのでドラゴンを倒せる武器をダンジョンに求めた。


そのきっかけは、ドロップした1本の剣だ。

剣の能力は、空間を「スパッ」と斬ることが出来た。

どんな頑丈な金庫でも剣の前では、豆腐を斬るように簡単なことだった。


しかしドラゴンは、空を飛ぶモンスターで剣では、斬る距離が足らない。

遠距離の攻撃が可能な武器が必要であった。


投げて斬る考えもあったがダメだった。

手からはなれた剣には、空間を斬れる能力が失っていて使い物にならない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る