投獄、それから

投獄。

一度はゲームやマンガで聞いたようなフレーズだ。

出来立てホヤホヤのやたらにゴツい壁と門をくぐり抜けた。

入所の手続きをするために、獄中に備え付けられた場所に行く。

自分の番号と氏名の書かれた真新しいプラカードを持たされ、前後左右の写真と両手の指紋、身長、体重など諸々の手続をして、牢屋へと案内。

「うわぁ....異様だ」

入り口から入ると、初めに見えたのは真ん中に一本の塔があった。

その塔を囲むように牢屋が並んでいる。

1階はコンクリートできた広場になっていた。

広場にはある程度の広さがあるホームセンター?があった。

入って左右にある緩やかな鉄板の螺旋階段を登って、いかにもな牢屋に到着。

「うん、新築だから綺麗」

そこには、備え付けのベッドと、トイレに洗面台、綺麗に整頓された日用品。

一人にされて、色々見てみた。

先ずは、牢屋の物を物色。

一人用のベッドときちんと畳まれた布団。

パイプ椅子に机。

「本当にそれっぽい、本当なんだけど」

「......トイレ」

牢屋の中のトイレを使う。

ひんやりとした感触を感じて、用を足す。

「ああ、スッキリ」

やはり、新築のトイレを1番に使うのは気持ちが良い。

「いけね!」

こんな所で油を売ってちゃいけない。

他の囚人が入ってくる前に土台を整える必要がある。

さて、

入る時に支給された準備金を使いコンロなどを獄中マートで仕入れた。

「コンロとか高いな....」

今回買ったのは、ニンジン、玉ねぎ、卵、ウィンナー、塩、胡椒、ケチャップ

ガスコンロ、テーブル、皿、調理器具。

いままで頑張って磨いてきた料理のテクニックを使い、オムライスを作ってみる。

初めにチキンライスを。

にんじんと玉ねぎは5mm角ほどに切る。

「うう、目が、目がぁ」

鶏肉と炒めて塩こしょうで下味をつけて、ケチャップやバターを加えてチキンライスに。

次はオムライス

ボウルに卵2個を割り入れる。

「やべ、殻入った」

塩2つまみを加え、箸でしっかり溶き混ぜる。

ジュワァァァァ

良い音が響く。

「後は、ここに盛り付けてっと」

完成!!

「早速、実食してみよう」

一口。

「うまい!留置所の飯より何倍もうまい!」

ここに来るまで飯を食べてなかったからか胃腸に染みる旨さ。

「ああ、お腹いっぱい」

食べ終えると、点呼の時間になった。

この日は、買える食材の確認と、調味料やコンロなどを整えた。

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刑無双 ESMA @ESMA1456K

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