クリスタの休日?

 子供たちがいる部屋は酷い惨状だった。


 部屋の中央には何かが爆発したような焦げ痕があり、爆発の中心地だと思われる場所には4人のヨセフくんと同年代くらいの少年少女たちが焦げた状態で倒れていた。

 他にもマルタさんより若いシスターが2人いるが、片方が目を回して倒れており、もう片方は4人の子供と同じく焦げた状態で倒れているため、爆発に巻き込まれたと思われる。

 子どもたちは部屋の隅に避難しているようで、歳が低い子たちはわんわんと泣いており、年上の子が涙目で慰めようとしていた。


「!? みなさん!一体何があったんです!?」

 クリスタがこの惨状を見てすぐに子どもたちに何があったのかを聞く。

 だが、子供たちは泣くばかりで、誰もこの状況を説明することができていなかった。


 私は、他種族より優れている獣人の五感を更に研ぎ澄ませながら現場を見渡して、何があったのかを推測する。

 窓は割られておらず、大人の男性特有の匂いも感じない。

 この部屋が荒れている原因は爆発によって起こったもの以外では見えない。

 そして、この爆発の感じから・・・。

 ・・・。


「お2人共、大丈夫ですか!・・・!?」

 遅れてやってきたマルタさんが、この惨状を見て絶句する。

 ヨセフくんもついて来たようだ。

「ヨセフ、何があったのか説明してくれる?」

「クリスタ、それよりみんなの回復をお願い」

 クリスタがヨセフくんに事情を聞こうとしたが、先に倒れてる人たちを治したほうがいいと思ったのでみんなの回復を頼んだ。


「! 分かりました。『ゴールドヒール』」

 私の言葉を聞き、ハッとしたクリスタが、詠唱を省いて発動させた、自身のオリジナル回復魔法である『ゴールドヒール』を使う。

 クリスタの手から金色の光が放たれ、その光が部屋中を包み込み、焦げていた5人を瞬く間に治療した。

 さっきまで泣いていた子供たちも、美しい金色の輝きに目を奪われて泣き止む。

 それを確認したクリスタはホッとした顔を浮かべると、ヨセフくんに向き直った。


「それでは、ヨセフくん。何があったのかを説明してください」

「そ、それがぁ・・・僕にもわからないんです。いつの間にかいなくなっていたミアを裏庭で探していたんですが、その時に爆発音が聞こえてすぐに駆けつけたらこの有り様に。・・・その後にすぐマリア先生が帰ってきたんです」

「ミアがやねのうえでゴロゴロしてたらしたからボンっていってたよ!」

「「「屋根の上!?」」」


 クリスタとマルタさんとヨセフくんがミアと呼ばれた猫幼女の言葉に驚愕する。

 そういえば、猫獣人の子供って妙に高い場所に登りたがるらしい。

 私がこの街に来る前にいた故郷の村にも猫獣人の女の子がいたけど、いつの間にか物見櫓の屋根に登っていてテンヤワンヤになってたらしいなー。

 ちなみに、その子も幼いながらもライトにホの字で、ライトの背中にへばり付いてにはシャーって威嚇していたそうな。

 それにしても、ヨセフくんも知らないのか。

 ・・・なら、しょうがないか。


「あのー、推測ですけど、何があったのか分かりました」

「本当ですか、ルナさん!」

 ミアに高いところは危ないから登らないようにと説教するマルタさんたちはこちらを見た。

 ミアちゃんはなんか涙目で見上げてくる。可愛い

「その前にマルタさんに1つ質問いいですか?」

「はい、構いませんよ」

「ここに、魔法薬を作っている子っていますか?」

 ミアちゃんを除く3人がまさかって顔で現場を見た。

 クリスタとマルタさんは分かるけど、ヨセフくんも分かったのはすごいな。


 爆発痕がある部屋の中心には、焦げたカーペット、そして、

 砕けたガラス瓶の破片が散らばっていた。

「ま、まさか・・・」

 ・・・うん。


「魔法薬の爆発、ですね」



 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ≪猫獣人・・・≫

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