ネイレスの休日2

「それで、ネイレスが料理の本を読んでた理由って何?」

「もう分かってるでしょう?あなたならね」


 あの後、図書館で騒いだ私たちは当然の流れの如く職員の人に注意され、静かに読書をすることにした。

 しばらく様々な種類のモンスター図鑑を読んでいたのだが、お腹が減ってきたので、ネイレスと図書館から出た。

 そんな時に、近くの広場にあった屋台で串焼きを売っていたので、数本買ってそこらへんにあったベンチに座って食べている。

 ちなみに、何の肉かは不明。


「ライトに手料理作ってあげたいの?」

「っ!?・・・えぇ、そこまで分かっているとは思っていなかったけど・・・白状するわ。私は人に振る舞えるようになりたいのよ」

「作れば?」

「作れれば作ってるわよ。なぜか私の作る料理は踏み潰された兎みたいになるのよ・・・」

 なんでだよ。

 ・・・いや、まぁ料理が下手な人ならぐちゃぐちゃになったりするけど、潰れた兎みたいな失敗作って何?何を入れたらそうなるの?


「・・・なら私が教えてあげようか?」

「!?」

「待って?なぜそこで驚くの?」

「だって・・・あなたが料理できるとは思わなくて・・・」

 なんで?獣人だからか。

 獣人でも料理くらい作れますー。


「コホン、こう見えても8歳の頃から料理を叩き込まれていたから腕は自身あるよ。ライトのところのおばさんの代わりに料理の番をしていたくらいだし」

「え?それはあなたの家族にではなくて?」

「違うよ。ライトの家族だよ」

 私がライトの家にお邪魔していた時の話で、ライトもライトの両親、妹も美味しいって言ってくれた。

 それから毎日御飯作ってって言われたから食材を貰って作ってた。

 ライトは剣の修業ばっかして手伝ったことなど一度もないが、妹の方は手伝ってくれたので、楽しく作れた。


「ルナ。もしかしてだけど、ライトもルナの手料理を食べてたの?」

「そうだよ」

「っ!?」

 なんだその反応。

 ・・・あぁ、そっか。

 そもそも幼馴染に料理を振る舞うこと自体が珍しいのか。


「ねぇ、ルナ。あなたはなんで料理を学んだの?もしかして・・・」


 ライトのため?

 そう、口から溢れたように言うネイレス。

 私はそれに対して、


「え?私が生肉をそのまま食べないように叩き込まれたんだよ」

 平然と答える。


「は?」

「私って結構物臭だったから生の肉を直接食べたほうが楽だと思って食べようとした時期があったんだよ。だからそれを矯正するために料理をする習慣を叩き込まれたの」

 あれは大変だった。

 塩やら砂糖やら胡椒やらを間違えて作ったり、レシピ通りに作っても何故か死にかけのリーフスライム(Eランク)みたいになったり・・・。


 だけど、努力の結果、人並みの料理を作ることができるようになった。

 それからというもの、調味料の量や加熱する時間によって味が変化するのが面白く感じて試行錯誤した結果、料理の腕がメキメキ上がった。

 今では、友達が家に遊びに来た時に手料理を作って提供したりする。


 そういえば、ライトに料理を作ってあげたのって、故郷の村を出てから無いような気がする。

 ・・・まぁ、あいつなら女子にモテモテなので、その子たちの作った料理でも食べればいいと思う。


 そういえば、ネイレスもライトに料理を作ってあげたいガールズの1人だった。

 ならば、あいつの好みを教えてあげよう。

 なんだかネイレスが呆れた顔をしているような気がするけど、まぁいっか。


 その日はネイレスを家に招いて料理の特訓に付き合った。

 その結果、1品目に作った肉入りライスが、爆殺されたウルフ(ただの動物)の死骸みたいになった。

 ま,まぁ、最初はこんなものだから気にしないでよ。

 だから部屋の隅っこでうずくまってないで、この上手に作れたサラダを食べよ?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

≪味は・・・まぁ・・・≫

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