テンケイド

髪にかくしたまま視線は彼らへ向かう

　一体誰から授（さず）かったのだろう。

　二つもいる翼に男のシャツ、女のワンピースをはりつけて飛び回るわたしの姿は他の生き物から見られても自慢（じまん）できるものじゃない。

　ねらった者をつめで切りさき獲物（えもの）は息絶（いきた）える。

　文明的な生き方をしても残念ながらその繰り返しだけは変わらない。

　そう考えると生きているのが嫌になるな。

　どんな生き物でも。

　テンケイドと名がつく俺は今日も人のトラブルに手を出していく。

　やがてそいつら獲物は俺の戦利品になるのだから。

　負けるとわかっているのなら俺を相手にしない方がいい。

　事態（じたい）はこれからもに解決しないのだから。